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龍馬伝第三十三話「亀山社中の大仕事」

龍馬伝第三十三話『亀山社中の大仕事』

いよいよ本格的に薩長同盟に向けて龍馬たち亀山社中の働きどころ。
今回は商売、取引がキーワードだったかと。



一番の取引は、もちろんグラバーとの取引。
そこにもいくつかの駆け引きがあって、まずは取引の場にグラバーを引き出すこと。ただ普通に頼んでも、もちろん受け入れられるわけがない、ましてや龍馬たちには「信用」の後ろ盾がない。長州や薩摩の姿も見えない、それでは商人が動くはずがない。
商人は、商売のことが第一。それはもう、多分小曽根さんやお慶さんや、長崎でのカステイラ商売から、肌で感じ取ってるんだろう。だからこそ、「隠し事をしていては取引にならない」ことにも気付いた。
それと、侍と商人、の立場。侍としてではなく、商売をする人間として、一個人として、グラバーとの会談に持ち込んだのは、元来から龍馬が侍という立場や、身分の垣根を持っていないからこそ、できたこと。
そして、グラバーとの交渉。お慶さんも、商売人。商売の香りを嗅ぎつけてやってきた。そんなお慶さんに、そこは商売人同士、グラバーも「あなたの専門外」と言って牽制するけど、お慶さんはそんなの気にしない。商人には商人の取引がある。
手駒をすべてさらけ出した龍馬、商人には、国がどうとか、志がどうとか、幕府がどうなるか、が重要な訳はない、ただ、そこにある商売の機会を明確に示すために、手駒をさらしたまで。その商売の機会に、お慶さんがすぐに飛びついたが、これもある意味グラバーの背中を押したんじゃないかな。商人は、目の前で他の人間にもうけ話を持っていかれるなんてプライドが許さないだろう。
そして、グラバーの問いかけ「取り分は?」からの龍馬とグラバーのやり取りが、商売の取引をしている二人だけれど、そこにはやはり明確な違いがあることを示していた。商人と、志士。その二人の間にあったのは「利害の一致」。
引き受けたあとのグラバーの高揚具合も面白かった。あの冷静なグラバーが、あそこまで昂った感情を表すのは、この商売がいかに大きくて重要か、を示している。

実際の交渉に入る時には、龍馬は担当者を指名する。扉を開けるのは自分、中で細かい仕事をするのは、より適任な人材に任せる。龍馬の適材適所がまたはまる。
惣之丞は英語が達者で、人をまとめることもできる。長次郎は会計が得意。その上、二人とも海軍操練所で船のことは学んでいる。長州の二人は留学経験があり、英語が堪能だが、船の交渉には惣之丞と長次郎の知識が必要だった。
ここの流れはテンポが良くて良かった。
それにしても、ここに長次郎の伏線が挟まれるとは・・・今日が長次郎の頂点で、来週はもう落ちていくなんて、哀しすぎる。長次郎の手紙が効果的。長州の二人の話から、留学に興味を持ったことが伏線。あと、いつか家族で英国へ行こう、と言っているのは、龍馬の夢と重なる。龍馬も、長次郎も、その同じような夢を叶えることはできなかったけれど・・・。

そして、もう一つ多きな取引は、お元とのやりとり。
グラバー邸で龍馬にお祈りを見られた後、グラバーと龍馬の話が気になって仕方ない様子だったけど、もちろん何か情報を求めていたけれど、心のどこかでは、お祈りを見られたことも気になっていただろう。
そして、やっと取引の材料を得て、交渉。
あの部屋は、隠れキリシタンのお元を表した部屋だった。薄暗く、光が窓を通して上から差し込む。御簾も掛けられ、顔の表情が見えないようになっているのは、隠れキリシタンの暗喩。でも、あの部屋はお元の心を表した部屋で、だからそこで彼女が見せた表情は本当の彼女。苦しいからこそ、自分にできることを必死で探して、行動しているだけ。
涙を見せた後、BGMが無音になり、「こいは取引です」できっぱりした表情で振り向いたのがよかった。あれが、お元の覚悟。

あと、交渉とか取引に台詞でのリンクは「見くびる」「甘く見る」ていう言葉。前段では侍は商人を甘く見てる、と言われた龍馬。後段ではお元に、侍を見くびるな、と言う。言葉のリンクも面白い。どちらも交渉の場面で、交渉相手への痛烈な一言になっていた。

今日も光の使い方がよかったなあ。
お元との交渉の部屋の光。
グラバー邸の赤い光。交渉をするのも、暗い部屋で隠れてランプの元で。
最後の調印を終えたグラバーたちが外へ出たとき、この交渉の中で初めて「自然光」「太陽の光」が射したのが印象的。その光の中で長次郎がたたずむのがまたこの先分かってしまっているだけに苦しいんだけれど・・・。
長次郎の伏線と言えば、グラバー邸でのやり取りの最後に、「私心があっては、志とは言えない」「自分らのことはどうでもえい、いうことぜよ」と言った龍馬の言葉が、そのまま長次郎に跳ね返る。

来週は筧さん登場か。楽しみ。今日はにょにょにょにょにょ~の中岡君がいなくて寂しかったけれど、来週は是非登場してもらいたい。

by yopiko0412 | 2010-08-15 22:18 | 龍馬伝  

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