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龍馬伝第二十一話「故郷の友よ」

龍馬伝第二十一話『故郷の友よ』

号泣警報がNHKさんと福山氏から発令された今回、予告されてた箇所だけでなく、随所に涙を誘う場面が・・・。順番的に、泣、泣、泣、号泣、泣、て感じです。間にちょっぴり笑あったけど・・・。




収二郎の死、攘夷派の衰退に心を痛めながら、それを跳ね除けるかのように訓練に励む龍馬たち、微妙な表情の長次郎も、龍馬と同じように心を痛めてるし、そんな龍馬の心をわかってるんだろうな、と思う。
攘夷派が衰退する中で、八月十八日の政変が割とさらっと流されてしまったけれど・・・長州の無念さ、薩摩との軋轢が今後への伏線。

今回は龍馬は2回勝先生のところへ行ってる。どちらも、この時勢の中で自分がこのまま勝塾で過ごしていていいのか、武市さんや、以蔵を助けたい、何もできない自分のもどかしさ、を露にする。
だけど、勝先生は1回目は、龍馬が今しなければいけないことを突き付ける。
2回目は、武市は覚悟を決めている、土佐へ帰って、武市に逃亡させるのか、自分が間違っていた、と命乞いをさせるのか、と問う。それはどちらも、武市の信念に反すること。武市は、もう覚悟しているはずだ、と。龍馬も、十九話の二人の会談で武市の覚悟、曲げられない信念、をきっちり理解してる。理解してはいるけれど、それでも「何もできない無力さ」に打ちひしがれる。そうして、龍馬が幼馴染の武市や以蔵を失いたくない、と訴えるのと同じように、勝先生も、自分の弟子を失いたくないのだ、と、重ねる。龍馬の想いを分かった上で、それでも、今龍馬が二人を失いたくないのと同じことを、勝先生自身が龍馬に感じている。二人の長す涙は、同じ種類の涙だった。
そして、勝先生の想いは龍馬だけでなく、勝塾の面々全員に共通。各藩からは帰国命令が出されているが、「けえるな!」と。「お前たちは日本のためにここにいる、藩のためじゃない!」と。それは、以前勝塾のいいところ、を挙げたのと同じ。藩を超えて、日本人になろうとしている塾生たち、誰一人、失うわけにはいかない。「今は、負けるが勝ち」とは、命令に背いて脱藩扱いになってしまったとしても、それが後に彼らのためになる、という勝先生の愛情。
この勝先生の「けえるな!」の演説にぐっときました。

一方、土佐の描写は、坂本家、岩崎家(弥太郎)と武市家が絡み合う。
坂本家でお富さんと弥太郎がブッキングして、弥太郎が武市さんのことを「今はしぼんでしまってる」と評する。これに対して弥太郎に文句をいいまくる坂本家の女性陣の強さが、逆にあまりしゃべらないお富さんの複雑な心境を助長する。けど、お富さんだって弱いわけではない。
材木が売れない弥太郎だけど、やっと「おまけ」をどうしたらいいか、気付いて、ついに材木が売れる。
その帰りに、高知城を見上げる武市さんに出会った弥太郎。今は遠い高知城、一度は登城の地位を得、大殿さまのために攘夷を実行すると息巻いた武市にとって、実は今は高知城は下士時代よりも遠く見えるのではないだろうか。
弥太郎は材木が売れたこと、おまけ、とは人の気持ちなのだ、と気付いた、と話す。この二人のやりとりで、「おまんのような人間がいてもいいと思った」という武市さんが、達観したところにいるのだな、と。
土佐勤王党はどうなるのか、と問われて、それでもまだ武市道場に人を集めて「大殿さまのために働くのだ」「まだ攘夷の火は消えていない」と檄を飛ばす武市さんは、もう己の信念を曲げない、曲げられないことを覚悟している。ああ、また武市さんは自分で自分の言葉を受け止めてる、と思ったら・・・最後にここが強烈な伏線に。
武市さんも好きに生きたらいい、自分に素直になったらいい、という弥太郎、きっと言ってる骨子は、十九話の龍馬と同じ。そして、武市さんの答えも、十九話と同じ、侍の信念、大殿さまのために働くのが武士である、という信念、それが自分の生きる道である、と。覚悟してるからこそ、言い聞かせるように同じことを声高に言う武市さんが、痛々しい・・・。
あと、弥太郎に「子供を作れ」と言ったのは、やっぱり富さんとの間に子供もいなくて寂しがらせたこと、そして自分がこの後どうなるか想像すると、たった一人取り残すことになる、という想い。武市さんのお富さんへの愛情が、弥太郎とのシーンに含まれていたように感じます。これも、伏線。

そして。
武市家の朝餉。
静かな、BGMを排した演出で、武市さんは自分の想いを、初めてお富さんに吐露する。言葉少ないお富さんも印象的。言葉少ないんだけど、長く話しだした、その言葉が、ことごとく愛情に溢れていて、彼女の覚悟も、彼女の大きさも、表わしていた。
武市道場で皆に演説した内容、あれを龍馬が聴いたらきっと反論されるだろう、でも自分は攘夷、と大殿さまのため、その一心でやってきた、今更それを変えるわけにはいかない、間違っていたと泣き言をいうわけにもいかない、と。お富さんが、静かに、そして全てを受け止めるように、「おまさん・・・」と声を掛けながら、武市さんの言いたいことを言わせてあげるように仕向ける・・・。お富さんにとってはこうして心情を打ち明けてくれることも、それが辛い内容だったとしても、きっと嬉しいことだったのかもしれない。外で言えないなら、自分に言ってくれればいい、と。
そして、仲間と政治の後悔を吐露したあとは、お富さんへの気持ち。もう、この時点で二人は覚悟している。言葉にはしていないけれど、武市さんの覚悟はお富さんにもしっかりわかってる。この二人の歩んできた歴史が言葉にしない会話の中にあった。
これからは、二人で暮らそう、夏の終わりには、桂浜へ。役人が来ていても、やめない。秋には紅葉狩りへ。役人が怒鳴ってもやめない。冬には・・・ここで、お富さんが「どこにもいかなくていい、二人でここで過ごしましょう」てもう涙ごーごー出ますから!!
そして、役人が踏み込んできて、武市さんは「ちっくと、出かける」と言って、立ち上がる。お富さんは、「はい」と言って、出かける準備。もう、二人は顔を見ない、目を合わせない。武士としての信念を貫く夫を、武士の妻として送り出す、美しい武士の魂は、男だけのものではない。振り返る武市さんだが、お富さんは平伏している。二人の時間は、役人が入ってきた、あの時までだった。

そして、以蔵。龍馬が必死で探すが、逃げ惑う以蔵。捕まるわけにはいかない、と地を這う以蔵。
だけど、路地から一瞬見かけた龍馬の姿を追おうとして・・・新撰組に挟まれる!この辺、もう前シーンからの涙の続きで、龍馬の姿を追ったばっかりに危うくなる以蔵にもう胸が締め付けられながら、なんとか逃げてほしい、と悲痛に見つめてた・・・。そして龍馬の名前を呼ぶ以蔵にまた涙!勝先生に、「以蔵の声が聞こえる」と言っていた龍馬、それはもちろん比喩的な意味だったんだけど、まさに本当の意味で「声」が聞こえた!必死で辺りを見回す龍馬と、龍馬を呼びながら相手をかわそうとする以蔵の姿にまた、涙・・・。
以蔵、と言えば、土佐パートで武市さんはまた絵を描いていて、お富さんが何の絵かと尋ねると、雀だと。雀と聞いて、龍馬との雀を取る話を思い出したけど、武市さんは「以蔵はこれを描いてると喜んだ」と言った。ああ、雀は龍馬との思い出でもあり、以蔵との思い出でもあったんだ・・・。他愛ない、幼馴染な彼らを雀に垣間見ることができるような気がした。

もう一人、覚悟を語った人、長次郎。自分は武士ではないが、志をもって、故郷と仕事を捨てて武士になった、だから、戻らないと。逆に元々武士だからこそ、武市には初めから覚悟があったはず、と言う長次郎も、かつて武市に蔑まれたことはあっても、きちんと彼を、武士というものを、理解してたんだ、と思わせられました。

どんどん展開するストーリー、来週は以蔵が追い詰められるか・・・そして、お龍登場。2部もだいぶ佳境に入ってきたのでしょうか、また来週が待ち遠しいです。

by yopiko0412 | 2010-05-23 23:26 | 龍馬伝  

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