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野田MAP『走れメルス~少女の唇からはダイナマイト~』

2005年1月6日(木)19時開演-シアターコクーン

野田MAP初体験、でしたが、話にはきいてたけど、ほんとに言葉遊びというか、言葉の洪水というか、着いて行くのが大変!でした。お話も、なかなか難解な感じで・・・でも聞いて(観て)ると、だんだんあのテンポに慣れていくのか、ちゃんと最後までお話は理解したつもり、です(汗)




まずびっくりしたのは、セット。開演前、幕はなく、舞台上には瓦礫の山のようなセットだけ。これでどうやって芝居していくんだろう?と思ったら、なんとその舞台は2階建て(て表現でいいのかな?)になってて、瓦礫の山がエレベータのように上に上がると、別世界になる。その世界も、めまぐるしくセットが変わる。カーテンのようなひらひらの布が吊ってあって、その向こうから人でもものでもスーっと出てきて、セットも出演者が運んでたり(笑)去年見た『赤鬼』でも、一つの道具を色々なものに見立てて、出演者が動かしてたから、ああいうスタイルは野田秀樹の得意技、なのかな?

白が基調のあちら側と、ちょっと薄暗い感じのこちら側(どっちがこちらであちらか、だんだんわかんなくなりそう・・・)ソダーバーグのような、色の使い分けが面白かったな。


次に、出演者について。

驚いたのは、小西真奈美の声、と喋り。テレビだといっつも線の細い声でしか喋ってない彼女が、かなり野太くて低い声で関西弁バリバリに喋ってる、ていうのがとんでもない衝撃でした。一緒に観てた連れ(関西人)いわく、あの関西弁は本物の関西人か、本気で上手いかどっちか、てこと。元々つかこうへいの舞台に出てた、ていう経歴は知ってたけど、テレビでのか細くてどっちかというと不幸なイメージの方が強かったので、これは今後は彼女の舞台はチェックしたいな、と思いました。

あと、深津絵里。こちらも、舞台で観るのは初めて。(カメレオンズリップ取れなかったから・・・)最近テレビでも色んな役をやってて、多才だとは思ってたけど、この舞台ではっきり認識。彼女も声に特徴があって、すっごい高い声のぶりっこ喋りなんだけど、生声でもやたらクリアに通る声、かと思えば次第に狂気を帯びていくキャラクターに合わせてどんどん声も変化していく。 メルスとの言葉のやり取りとか、スルメとどんどん乖離してしまって、狂気を帯びていく様子とか、すごいドキドキしました。

野田秀樹自身も出演。こちら側でもあちら側でもぶっとんだ御婦人の役(笑)この人も、赤鬼役でものすごいなーと思ってたけど、やっぱりものすごい(爆)あの勢いで喋って、舞台を縦横無尽に走り、跳び、作り上げてる。古田さんとのエンドレスアドリブサッカーはかなり面白かったけど、あれは体力的にも相当きついんじゃないだろうか・・・。

中村勘太郎も、現代劇でしかもあの洪水の台詞、役どころも純粋で悲しい難しい役、すばらしかった。やはり歌舞伎という板の上の人だから、動きも声も、あの小柄(線が細いからそう見える)な体からは想像できないほど。スルメの純粋さが、新撰組の平助とも少し共通する気がした、かな。平助は純粋さを貫いて、潔い死に方を、スルメは純粋さを暴走させて侠気の世界へ。同じ「純粋さ」も紙一重なんだなぁ。

古田新太は、舞台では新感線以外では初めて、だったかな。一見すると普通のオジサン(失礼・・・)なのに、舞台ではなんでかカッコよく見える、という稀有な人☆今回はカッコよさより、どっしりした印象が強かった。刑事たちの、垂れ込み電話に踊らされてる場面(ここは刑事役の人々の腕の見せ所?!)、とか、野田秀樹とのアドリブの応酬、とか、印象的なシーンがそれぞれにあって、どっちの役もおもしろかった~。

もっと個別の役者さんについて色々思ったけど、キリがないのでこのくらいに。ものすごく個性豊かな役者陣、それぞれ役が立ってて盛りだくさんでした、ありがとう~!


お話自体は。ほんとーに情報量が多いし、世界観は難しいし、難解の極み。お正月ボケしてたから余計にそうだったのかも(汗)それでも一応考えたことを。

テーマは一つには絞れない気がします。究極の愛のお話、純粋すぎる心と、夢のお話、誰もが見失ってしまう可能性のある、自我のお話、。劇中には現実主義者もいれば、夢想家もいる、確信犯的に、虚構の世界を作り上げてる人もいる。色んな問いかけがされてて、色んな答えも見せられてるけど、じゃあどれがいい、て聞かれてるわけじゃない、観た人に考えさせるものなんじゃないかな。


劇場では台詞本まで売っていた。あの台詞量じゃすごいことになってるだろうけど、それを噛み砕いて読んだらもっと何かが見えるのかもしれないし、活字じゃなくて耳で聞くことに意義があるものかもしれない・・・私にはわからない。本は買ってないので(汗)


野田MAPはまた観てみたいです。出演者たちのほかの舞台も是非是非観たい♪

by yopiko0412 | 2005-01-07 13:30 | 演劇  

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