『ヴェニスの商人』

2007/9/24-13:00開演 天王洲銀河劇場

実はあんまり詳しく知らなかったんですが、元々は悲劇かと思っていて、でもどうやら喜劇らしいという印象で観に行ってみたら喜劇なような悲劇なような・・・うやむや?どこに自分の立ち位置をもっていくかで見え方は変わるかもしれません。



ヴェニスの商人、アントーニオは友人であり恋人(ですよね?あれ?)でもある若く美しいバッサーニオから、大金を貸してほしいと頼まれる。バッサーニオは親から譲り受けた財産を食い付くし、アントーニオの庇護の下、生活している若者。彼は、両親に先立たれ、巨額の遺産を相続した絶世の美女ポーシャの求婚者の列に加わる為に、身なりを整え旅をする為のお金が必要だった。
商船が未だ航海中で、まだその利益が上がっていないアントーニオは、バッサーニオのためにユダヤ人の金貸しシャイロックから、自分の身体の肉1ポンドを抵当に大金を借りる。もちろん、借りた金は全額返済可能だと踏んだからの約束だった。
借りた金でポーシャの元を訪れたバッサーニオは、ポーシャの父の遺言の条件をクリアし、ポーシャを手に入れた。しかしそこへ、アントーニオの商船が難破し、彼が全財産を失い、シャイロックから借金のかたを要求されていると知らせが入る。ポーシャはその借金を肩代わりすることを快諾し、バッサーニオはアントーニオを救うべく旅立つ。ポーシャは密かにバッサーニオの後を追うことにした。
一方シャイロックは、大事にしていた愛娘と溜めていたお金もろともバッサーニオの友人ロレンゾに奪われ、日頃からキリスト教とたちから蔑まれ、アントーニオには商売を邪魔されていたことから、激しい憎悪を募らせていた。
バッサーニオの金は受け取らず、頑としてアントーニオの肉1ポンドを要求するシャイロック、そこへ判事に変装したぽーしゃが現れ、裁判の行方は大きく変わる。
シャイロックはアントーニオを殺すこともできず、貸した金を取り返すこともできず、それどころか財産を奪われ、娘とその夫ロレンゾにその財産を渡す約束をさせられ、さらにはキリスト教徒に改宗させられることになる・・・。

んー、喜劇なようでいて、どこかしっくりこないのは、やっぱり宗教的、人種的問題のせいかと。シェイクスピア時代はこれほど宗教的な問題が大きかったのかしら?英国の観客にとっては、ユダヤ人が蔑まれ、最後にはキリスト教に改宗させられるという筋は面白いものだったのか・・・。シャイロックの姿は、哀れ以外の何物でもなかったし、だからこそ財産が手に入る、という喜ぶべき知らせを読んだ娘の表情は暗く、嬉しそうな夫ロレンゾとは反対の方向に歩いて行ったということは、彼女にとっては父の悲痛がわかったからだろう、と思う。
アントーニオとバッサーニオの関係も、ちょっと哀愁があった。というか、アントーニオの方に。だって彼は若いアントーニオにあれほどの愛情を注いだにも関わらず、アントーニオは自分の元を離れていってしまったのだから。それでも彼は自分の愛が、自分が用立てた金がアントーニオを幸せにしたのだという思いだけを抱いて生きていくのだろう。
ちなみに、相変わらずシェイクスピア劇の女性にあまり魅力を感じない私・・・だって、どのお話を観ても、女性たちは自分が惚れた相手をだましたり試したりしていることばっかりだから。今回のポーシャも同じく、自分の夫を試している。あんまりその流れが好きじゃないので、今回も「またか・・・」と思ってしまったんですよねえ。

演出的には、入口の女性から扮装をしていて、劇場内を様々に扮装した役者たちが音楽を奏でながら観客に悪戯をしかけて、劇場全体をカーニバルにしちゃってたりして、やっぱり喜劇なんですね。舞台はあまり大きく使ってない印象でした。装置もそれほど大がかりでもなくシンプル、かな。

役者さんで印象的だったのはやっぱりシャイロックの市村さんの悲痛さ。今回の市村さんはあんまり面白いことも入れていなくて、ただただ恨みとか憎しみとか、最後には辛さとか無念さとか、そういう負の感情ばかりを表現していて、それはそれで逆に期待とは違っていて驚かされました。
それと、アントーニオの西岡さん。おおらかで楽天家、友達思いで恋人(?)思い。商人としての度胸もあれば、潔さも持っていて。それでいて最後は中年男性のえもいわれぬ哀愁が漂う後姿。渋くてかっこよかったです(笑)
そして、やはりというか、苦手だなーと思ってたけどやっぱり苦手だったのは寺島さん。絶世の美女、というポーシャだけど、私にはそうは見えず・・・。んでそのお相手が藤原くん演じる若く美しいバッサーニオ。このアンバランスさがなんともいえず・・・。判事に化けて出てきたところも、いくらなんでも無理がありすぎる感じがして、どっちつかず。
あとは、ポーシャとバッサーニオの恋にリアリティが全くないんですよね、それがまたもったいなく。これは配役のせいもあるかと。ポーシャの描き方も、深窓の令嬢かと思いきや、いきなり夫を騙してみたり、全然イメージが固定されない。
あ、意外とはまっていたのは、ポーシャの侍女を演じた佐藤仁美。この侍女も、自分の夫を騙すんだけど、それは自分の主(ポーシャ)が同じことをしていたからで、しかもこの侍女と夫の関係性って元から妻の方が強そうだから成立してたと思います。

これ、蜷川さん演出だとどうなるんだろう?という興味はあります。どうしても私にとってシェイクスピア×蜷川さんがかなり頻度が高いので、観てみたい。とはいえ、このお話自体がもしかしてそんなに好みじゃないのかも?とも思ってしまうんですが。それを確かめるためにも、他の演出・出演者で観てみたいというのもありますが。
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by yopiko0412 | 2007-10-24 00:28 | 演劇  

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