『魔法の万年筆』

2007/6/9-19:00開演 PARCO劇場

最前ど真ん中という席での観劇。舞台近い!!そして、舞台の一部を見ていると、それ以外の人々が視界に入らないというなんとも贅沢な悩みもありつつ・・・だって喋ってない人が端の方でなんか面白いことしてる(主にマッチャー)んだもの、どうしたらいいんでしょう(汗)




口の立つ作家志望のパーカーは、担当編集のウォーターマンからまんまと借りた5ドルで、自分にぴったり合った万年筆を買う。その万年筆で書いた小説が大ヒット、売り場店員だったデルタとも恋人同士となり、結婚を約束、バラ色の未来が見えていた。そんな時、ウォーターマンは、NYの有名作家モンブランがパーカーを気に入り、その娘セーラーと結婚させたい、という話を持ってくる。初めは渋っていたパーカーだったが、財産もあり、出世も約束される結婚に惹かれ、つい見合い、そして持ち前の口の良さで結婚までこぎつけてしまった。式の当日、実はその時までデルタには事実を告げる事が出来ず、一週間後の結婚に向けて教会にやってきたデルタに、一番ショックな形で事実を知られてしまう。
そして結婚したパーカー、その後も人気作家として地位を確立し、結婚後すぐにモンブラン氏が急逝、その財産を全てパーカーに譲るという遺言書のおかげで大金持ちになった。女性の担当編集者との浮気も楽しんでいたが、ある日大事な万年筆をなくしてしまい、小説が全く書けなくなってしまう。パーカーは、他の万年筆では書けない、いうなればあれは魔法の万年筆だったのだ、と言い、逃げるようにバカンスに出かけた。後に残ったセーラーとその兄パイロットは、そんな現状に満足していなく、交霊で父の幽霊を呼び出してなぜ不公平な遺言を残したのか、問いただそうとしていた。そして見事呼び出したモンブラン氏は、実は遺言は書き直すつもりだったこと、また、もう1通の遺言があり、パイロットが人気作家になれば財産をパイロットに戻すという遺言書があることを伝える。おりしも、実はなくしたと思っていたパーカーの万年筆をパイロットが持っていたことに気付く二人。パイロットはその万年筆で小説を書き、人気作家となっていく。バカンスから戻ったパーカーはそんなこととは知らずにいた。そしてウォーターマンから教えてもらった伝説の万年筆職人の元を訪れ、自分にぴったりの万年筆を注文する。実はその職人の息子はパーカーが捨てたデルタだった。あまりの悲しみに、女であることをやめたというデルタは、できあがったパーカーの万年筆を壊してしまう。失意のパーカーが屋敷に戻ると、パイロットが自分の万年筆を使っていることに気付き、取り合いになった。「魔法の万年筆だ!」という認識から、パーカーとパイロットだけでなく、ウォーターマン、セーラー、女性編集者のペリカーノ、幽霊のモンブラン氏まで参加しての取り合いの最中、大事な万年筆は壊れてしまう。
これを直してもらおうと、伝説の万年筆職人の元へ急ぐ人々、残ったパーカーは店にはいけない理由をウォーターマンに告げる。これ以上デルタの心を傷つけるわけには行かない、というウォーターマンは、パイロット達を止めに向かう。そしてパーカーもまた、デルタへの謝罪を胸に、店へ向かう。

数少ない登場人物で、きちんとキャラ設定されたキャラクター達が作る御伽噺は、ちょっと毒をも含んで、哀愁漂うものでした。途中ちょっと長いな、と思うところもあったり、前半「ここいらないんじゃ?」と思ったところもあったけど。
色んな要素が詰め込まれてるけど、笑いの要素はそこここに散りばめられてて、気楽に見てたら最後にとんでもないことになったりしてびっくりした。

でもこれ、結局最後にデルタは救われてないんじゃないかしら?と思った。だってパーカー死んでるし。パーカーは、自分の後悔をきちんと伝えて、自分の愛は本当はデルタにあったことを認めることができたけど、彼女はそれを知ったとたんに彼を再び失った訳で・・・。
そして、「悲しい兄弟」セーラーとパイロットも、結局は救われてない。ていうか、彼らこそ、魔法の万年筆への妄執、父親の愛情への異常なまでの執着にとらわれてしまっていた哀れな大人。父親の愛情を、「遺産相続」という形でしか捉える事が出来てないのは、終始一貫してるし。
ペリカーノの言葉からパーカーが悟った、「書きたいものがあれば、書くための目的があれば、どんな万年筆でも魔法の万年筆になる」という真実は、ペリカーノとウォーターマンとパーカーしか気づかなかったんだね。あ、デルタもわかったかな。

あ、あとおもしろかったのは途中途中に入る歌。ジャズ調で、芝居の状況とか登場人物の心情とかを日本語で歌ってるんですが、ペリカーノの愛人としての心情とか歌ってて面白かった~。

パーカー:吾郎ちゃん
良くも悪くも、吾郎ちゃんです(笑)いや、彼の持ってる雰囲気とか、一生懸命さとか、ノーブルさとかが、遺憾なく発揮されてて、酷いことしてるパーカーがなんだかそうでもなく見える不思議(爆)
でも、脚本的に、「口が立つ」感じをもうちょっと前面に押して欲しかったかな、とも。セーラーとの結婚生活がうまくいってなくて、愛人とも表面的な付き合いだった、ていうのが、わかるけどわかりづらい。
スマスマコントでのちょっとイタイ感じを「ぴょーん!ぴょーん!」と目の前で見せられました~。いや、あの感じも含めて「吾郎ちゃん」なので、愛らしかった☆

デルタ:西牟田恵さん
生で観たの初めてかも?私にとっては『アテルイ』の立烏帽子の凛々しい西牟田さん。が、小柄で、ショートヘアにレトロな庶民的な服装でなんか儚げ。結婚を前に幸せモード炸裂の時はかわいい。でも前半早い段階で出番終わりかと思ってびっくりしました。後半出てきた時も、あれが同じ役なのか、二役なのか始めわからなくて「?」だったし。男になったデルタの激しさと、パーカーの後悔を聞いたデルタから男が抜けてデルタに戻っていく様の緩急が素晴らしい。

パイロット:河原雅彦
マッチャーは面白担当&悲しい兄弟。最後まで自分の意思がどこにあるのか・・・パパとセーラーに振り回されてたんじゃないかなあ。
情けない表情で、ひょろんといるんだけど、なーんかつい目で追ってしまうのは、絶対何かやらかすから。前半、パーカーとセーラーが筆談してるとき、万年筆が落ちたらすかさず遠くの柱から「あー!」て顔で「うっしっしっ!」と指さしてパパに叱られてたり。
パーカーと魔法の万年筆を取り合う時、途中で万年筆を見失い、「ほんとに無いんだけど!」と焦って探すマッチャー&吾郎ちゃんが面白かったり(*^_^*)

エルバン:小林隆
伝説の万年筆職人ですが、後半しかでてこないし。でも途中新聞持って歩いてたのは小林さんだったのかと後から気付きました。おじいちゃんなんだけど、身のこなしや声の出し方はさすがの実力。パーカーとのやり取りのテンポが小気味良くていいですねー。

モンブラン:山崎一
ああいう紳士、似合いますね~。そして亡霊になってからのあの存在感は一体・・・(笑)とっても勝手に飄々としてるんだけど、でもその場はその異質さがちょうどいい、ていう。

ペリカーノ:三鴨絵里子
独特の声と、ダイナマイトボディがインパクト大。でも役どころ的にそのインパクトは重要。素晴らしいキャスティング~。

セーラー:久世星佳
一番のインパクトは、交霊術やってる姿(爆)あれはパイロットじゃなくても怖いです、いやほんと(^^ゞ

ウォーターマン:阿南健治
声がいいですし、もちろん上手いですし、あとパジャマ姿がかわいかったり(笑)

それと、この芝居で印象深かったのは、カーテンコールでしょうか・・・。
いやぁ、前にもジャニーズさんの出る舞台は観たことあるけど、去年の『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない』ではあそこまでじゃなかったのに、カーテンコールしょっぱなから「きゃぁ~」と黄色い歓声。初めから立つ人続出。でもまあもちろんそれは一部の観客だけなんですけど・・・。だって後ろの列の人(つまり2列目)が終了後「かっこよかった~」と言いながら腰砕けてしゃがみこんで涙ぐんでました。なにもそこまで・・・。
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by yopiko0412 | 2007-06-26 20:45 | 演劇  

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