『橋を渡ったら泣け』

2007/3/25-14:00開演 シアターコクーン

個性的な役者陣と、演出・脚本にも惹かれて観てきました。
インパクトのあるチラシと、「目覚めたら世界は水浸しで取り残された人々」みたいな設定という情報だけで観に行ったのですが、案の定という部分と、定石をはずした、と思われる部分があって不思議な印象。後味は悪くはないけど、若干もやっとした感じも・・・?



災害に遭い、生き残った少数の人間が置かれた極限状態、という設定から、だいたい想像の付く展開ではあって、そこに人間のもつ支配欲とか、自己愛とか、集団心理とか、どろどろしたものが淡々と、でも着々と変化しながら進むストーリー。小さなコミュニティは、いつしか支配する側と支配される側に分かれ、支配する側は助長し、支配される側は反発する。その力関係が壊れたとき、その立場は容易に逆転し、今まで支配されていた側の人間が、今度は支配する側になり、結果的には同じ過ちを繰り返す。
その、支配する・されるの立場に立つ者、その状況でもニュートラルでいられる者、一見波に飲み込まれているようで、一本筋が通ってる感覚を持ち合わせている者、色んなキャラクターの個性が描かれていて、面白かったです。

ただ、こういうシチュエーションの定石としては、誰かが殺されたり、いなくなったり、するものなんだけど、そして大体は破滅に向かっていくものなんだけど、支配する・されるの一連の変化を描いた後、突然当事者がそのことに気付き、コミュニティを去る、そしてその後何があったかはわからないけれど、月日が経ってみたら、誰一人欠けることなく、新しい仲間も増え、良好なコミュニティを形成している場面に飛んでしまった。ハッピーエンドといえばそうだけど、どうも尻すぼみ感があったような・・・。広げた風呂敷、畳む様子を全く見せずにいきなり畳まれてた、みたいな(笑)狐につままれた感じでしょうか。


役者陣もそれぞれ個性的で、キャラクターがはっきりしてました。

大倉孝二さんは振り幅が大きくて、初めの挙動不審っぷりはさすが(笑)後半、支配する側に回ってしまった時も、一見普通そうなんだけど、でもやっぱりどっかおかしい、ていう雰囲気が、栗田たちのわかりやすいおかしさと違っていた分、逆に恐かったです。しかし、予測は出来たけど、あの女湯には笑わせてもらいました(爆)
やっしー八嶋智人も手堅い。役柄的にはおとなしい、そんなにおもしろく作りこまれてはいないんだけど、ふとした瞬間に「ふふっ」と笑ってしまう何かを挟み込んできてて、上手いなあ。大倉さんとの二人の会話のシーンはすれ違いあり勘違いあり時々真実あり、で面白かった。

そして、女性3人の中で一際目立ってたのは、やっぱり戸田恵子さん。あのキャラクターを最大限に見せることが、この芝居の中で結構重要だったんじゃないかと。だって、彼女だけは基本的にはぶれない。後半多少支配する側になってしまったかもしれないけど、ちゃんと状況を冷静に捉えていて、旦那のことも一生懸命理解しようとして、周りの人たちの「おかしさ」をきちんと、観客にも伝える役割で。それを、自然に、でも観客の共感を得る説得力を持たせていたのは、さすが☆

楽しめたとは思うけど、でもやっぱり最後の持って行き方がもやっとした、かな。まあ、タイトルの意味は、佐田山の去り際のやっしーとのやりとりな訳で、言いたかったのはそっちだというのもわかるけれど・・・。

ちなみに、ストレートプレイならいけるかと思ったけど、奥菜恵さんはやっぱり声をきんきん張り上げてるだけで感情が訴えてこなくて、うーん、な感じでした。SHUFFLEはデフォルメキャラだったからそんなに気にならなかったけど・・・。
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by yopiko0412 | 2007-04-07 22:31 | 演劇  

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