劇団M.O.P『ズビズビ。』

2006/11/30-19:00開演 紀伊国屋ホール

初の劇団M.O.Pです。去年の『水平線ホテル』もどうしようかなーと迷って観なかったんだけど、評判良かったので次は絶対観よう!と思ってたのと、キャラメルボックスの『俺たちは志士じゃない』をマキノさんが演出されたのを観て、すっごくシンプルで、なのに場面は自然にどんどん移り変わることや、全体的に余韻を残す間が好きだったので、観劇決定。

そして、結論、やっぱり、当たりでした!
オムニバス形式、ということで、それぞれ独立したお話なんだけど、ちょっとずつ絡んでるというか、登場人物が重なってるので、頭の中で時系列を整理し、人物関係を考えながら色んな意味で楽しみました。




第1話「ずっと貴方が・・・」時系列3番目
いきなり濃いメイクの小市さんが一瞬誰だか分かりませんでした。しかもなんか間近で見ると背が高かった!映像ではそれほど背が高いと思ったことは無かったのに、なんでだろう?低くて艶のあるいいお声でなめらかな語り口で、ほんとステキです。
ま、役柄はかつての栄光を捨てきれない、嫌味な役なんだけど。そして前半は何の話だろうと思ってたら、途中すっと自然にサスペンス風味で、あぁそうか、そういう背景があるからあの人はあんな風なんだ、と後から気付かされる。でもそのサスペンス要素は、単なるサスペンスじゃなくて人間の業とか、親子の愛情とか、男女の愛情の問題で、結果としては、これは愛の話でした。
キムラ緑子さんに感動。ファンの愛、真実を知りたいと願う気持ち、父親の愛を受けられたかもしれないという想い、抑えた表現から、時折見せる叫びが、痛かった。かっこいい女性でした。
そして、大作が、全てを告白して、「もっとできるはず」と言われたクローディアスのセリフを、心からの自分のセリフとして語るラストも、それまで隠していた彼の心を垣間見たようで、いい終わりでした。

第2話「ビッグな男」時系列2番目
第1話に比べて、にぎやかな明るい印象のストーリー。旅一座の人々の焦りや不安感を描いているんだけど、なんか明るい(笑)
でも、ちょっと弱かったかなあ?特に、最後の座長の心変わりがわからなかった・・・いや、その前の政治家の秘書の「頑張って劇をやってください」てのが気に食わなかったのかと思ったんだけど。「劇」てねえ(爆)でもそうじゃなくて、やっぱり「あいつの石松が見たかった」んだろうか。
ちなみに、サトシの代わりにグループサウンズに入ったのが南大作だった、のかな?違うかなー?ま、そうじゃなくてもサトシの存在自体が全体の絡みに入ってるからいいんだけどさ。

第3話「ずいぶんな話」時系列4番目
えと、ここだけ題名見逃しました。だって題名が写されるのが始まりか終わりかわからないんだもん。しかも始まりも終わりも役者さんが出てきてセット変えてるから、つい見ちゃうんだもの(笑)で、タイトルは予想でこれじゃないかと。どなたか正解教えて欲しい・・・。
これも、結構内容はすごいんだけど、全体的に明るい印象。第1話で若手の衣装さんだった山ちゃんが、40歳過ぎて再会した初恋の人と恋に落ちるんだけど、その初恋相手は妻子持ちであることを隠してて、ていう状況のドタバタコメディ。
期待したのに裏切られて、信じたのにまた裏切られて、振り回されまくった挙句に仕事も大きな失敗して、それまで自分が目指してたことを掴み損ねて。それでも、あくまでも前向きな山ちゃんで良かった。白銀さん(サトシ)も、ビッグな男どころか、妙なおじいちゃんになっちゃったなと思ったけど、最後にGJ!(笑)
ここでやってる芝居が「ハムレット」なのは第1話とのシンクロかな。そして実は出演してた南大作。こちらもいいおじいちゃんだけど、えいこさんと一緒になったね、幸せなのね、とほっこり心温まりました。

第4話「ビタースイーツ」時系列1番目
これが一番好きです。というかかっこいいし切ないし雰囲気あるし、最後のもって行き方なんてやられた!て感じでした。
1話で主役だった南大作が若い頃着いていたジャズバンドの、メンバー二人と彼らに愛される女性の話、ある意味その配置は典型的なんだけど(『タッチ』みたい)、それを一筋縄ではない料理の仕方。マキノさんのストーリーテリングにまんまと惹きこまれました。
特に、ラストのあの、時空を一気に飛ばし、セピア色の照明で、二つの世界を交錯させてしまう、あそこがもうあまりの自然さとかっこよさと上手さに「なんだこれー!」と心の中で叫んでた(笑)あのシーンだけでももう1回観たい!!DVD化されるらしいけど・・・まさかあのシーンのためだけには買えない(汗)
役者さんはやっぱり御三方はすばらしいとしかいいようがない・・・キムラ緑子さんのゆかりは、えいことは全然違うタイプの女性で、すっごいキュート♪でもどこか達観したようなところとか、守ってあげなきゃ、と思ってしまうけど、そんなの彼女には必要ないだろうな、とも思える。そして、印象的だったのは、被爆して、家族を失い、遺伝するからと子供も諦めたゆかりの、「アメリカは憎いけどさ、ジャズまで嫌いになりたくない」という台詞。坊主憎けりゃ、ではなく、好きなものは好き、ジャズ(音楽)に罪は無い、むしろ自分の生きがいでさえある、そんなものがあってよかった、とほんとに思う。そして、切ない。
そして彼女を愛するけんちゃんしんちゃんコンビがまたかっこいい☆小市さんはともかく、三上さんは私の中ではあんまりイメージなかったんだけど、しんちゃんはステキでした。ま、ちょっとひどい、とも思ったけどさ(^o^;
脇役になってた大作だけど、若い彼は真っ直ぐで真面目で、彼の原点はこれなんだな、と思うと、第1話の大作はやっぱり自分を偽って偽って生きてきた、苦しんできた、と思う。

4話の時系列の並びや、ストーリーの構成の仕方なんか、すっごい練られてるし、4話通して初めて一つの作品ですね。もちろんこれ一つでも充分なんですが、それだけじゃ補いきれない部分が、4話にすることでうまいこと繋がっているという。で、やっぱり1話目と4話目がものすごい(劇中の)タイムラグはあるけれど、切っても切れない。話を分かった上でもう一度観るとまた色々発見できるんじゃないかな。てやっぱDVD必要?

で、カーテンコールなんですが、なんでいきなり演奏?!ジャズバンドの話だから?それともM.O.Pはいつもそうなの?トランペット吹く小市さんがかっこよい(*^^*)
でもキムラさんは、ギター思いっきり掻き鳴らしてるようだったけど、音出てなかった・・・弾いてないよね?(笑)
三上さんから一言挨拶があり、「何か言うことある人?」て聞くけど小市さんが「いえ、ありません」と呟いて、他の人も何もない、という感じで三上さんが「もうだいぶやってるんですけどね、いつも誰も何もないっていうんですよ、そろそろ何かあるんじゃないの?」みたいにぼやいてたのがなんか微笑ましかった。これももしかして恒例なんでしょうか?
あぁ、M.O.P初心者故の「いつもなの?」な感覚がもどかしい(笑)

ちなみに、場内にはやたらと関係者と思しき方が多く、役者さんもちらほら。初日じゃなかったのに。
[PR]

by yopiko0412 | 2006-12-04 21:57 | 演劇  

<< 福山雅治『5年モノ』 『写楽考』2007年4月シアタ... >>