六月大歌舞伎:夜の部

2006/6/25-16:30開演 歌舞伎座

思いがけず、チケットをいただいて、行って来ました。好きな俳優さんは出ているけれど、歌舞伎の場合毎月誰かしら好きな俳優さんが出てるわけで、そうなるとある程度絞ってチケットを取るので、今回はパスしてたんですけど、見に行ってみたらやっぱり楽しいなあ、と♪
そして、今回は2階の後方席。これって二等席だよね?なんて連れと話してましたが、3階席の狭さと見えなさを思い、どうなんだろうと思っていたら、意外にそれほど狭すぎもせず、見晴らしも良くて、花道七三も見えたので、2階はありだねえ、という結論に(笑)
でもまあやっぱり1階の目線の丁度良さがいいんですけどね・・・。
今後、八月納涼歌舞伎、秀山祭九月大歌舞伎と観たいので、席をどうするか、考えておかないと~。




『暗闇の丑松』
継母に妾奉公を強要されているお米には、丑松という料理人の夫がいた。継母お熊は、ごろつきを雇い、丑松を亡き者にしようとするが、逆に丑松は怒りに燃えて、お熊とごろつきを殺してしまう。自首するという丑松に縋り、逃げようというお米。丑松は兄貴分の四郎兵衛を頼り、逃げることにする。
それから1年後、江戸へ戻る旅の途中に丑松が立ち寄った宿場で、その夜の相手として出てきたのが女郎に身を落としたお米だった。驚き、怒りを露わにする丑松。自分はお米のことを一時も忘れず、やっと迎えに来たというのに、お前は別の男に乗り換え、騙されて売り飛ばされたんだろうと、勝手な推量でお米を追い込む。お米は自分の身の上が何故こんなことになったのか、それは全て丑松が信じている兄貴分、四郎兵衛に騙されたからだ、と説明するが、丑松は四郎兵衛のことを信じきっているため、お米の言葉に耳を貸さない。
思い余ったお米は、別れの盃を交わし、首を吊って死んでしまう。その頃、丑松は宿場の若いものからお米の経緯を聞き、やっと全てを悟ったが、既にお米は命を絶ってしまっていた。丑松は豪雨の中を飛び出し、四郎兵衛の屋敷へ出向き、再び罪を犯し、逃げていく・・・。

事前に、暗い、暗い、という噂(舞台上も、客席も、お話も!)は聞いてましたが、確かに冒頭の舞台と客席の暗さはすごかった。客電は常に明るめな印象のある歌舞伎座で、筋書きを読めない暗さって珍しいなあ、と。
そして暗闇の中で起こる殺人。それも舞台上では殺人シーンを見せてなくて、梯子の下で物音がして、梯子を上がってきた丑松の腕にはべっとり血が・・・という見せ方。うーん、こういうのがさらっとできる歌舞伎ってすごい。
で、印象的なのは、殺人を犯した後、真っ暗な中で月明かりだけが煌々と明るいんです。窓の障子を開けるとその眩しさに丑松とお米が目を背ける・・・。罪を犯して、暗闇の中を生きるであろう二人が、月の眩しさに照らされている、ていう対比がなんとも。そして二人は月の方向へ向かって去っていくのも、珍しいなあ、と。背中向きの決めポーズに大向こうが掛かるのが粋。

1年後の宿場のシーンは、そんなに暗くなかった。ていうか登場人物も多いし、途中どたばたしてるし(笑)祐次の喧嘩話は、丑松の心境を表すためのものであって、特に何ってわけじゃないんですね。染五郎さんの威勢のいい若者がからっとしてて良かった。
丑松とお米の再会から事の顛末を語るシーンは、幸四郎さんと福助さんの緊迫した二人のやり取り。幸四郎さんはどうしてもちょっと威厳のある感じが抜けなくて、あんまり30歳そこそこの人には見えないんだけど・・・。福助さんの声は、よく通るしかわいらしいところやいじらしい雰囲気もあって、演技も時々ふっと和む感じ。いや、話してる内容は和むどころじゃないけど。だから、じっと俯いていてお米がふと顔を上げて、丑松に「お酌してください」と頼むあの瞬間に、声の調子が違うから、「ん?どうした、お米?」と思わせられる。その後の展開を知らないけど、そういえば冒頭で逃げるとき剃刀を持って「いざというときはこれで!」みたいなことを言っていたので、そういう流れかしら、と思ったら、そうだったという。
こういう、行き違いで真実が伝わらず、誰かが死んでから真実が判明する、ていう流れって歌舞伎じゃもう当たり前のようによく聞くけど、それでも成立しちゃうんだからすごいなあ。

丑松たちを騙していた四郎兵衛とお今の人柄を表す場面は、段四郎さんと秀太郎さんがいやーな人っぷりを表現していて、丑松はなんでこの人たちをあんなにまで信用してたんだろう?とそこが疑問に・・・。冒頭でお米がお熊に「私と丑さんとの仲は四郎兵衛兄さんの口利きで・・・」とか言ってたから、そこからだろうか。
それにしても、自分からお米に手を出しておいて売りさばき、死んだと聞いたらもう自分は関係ない、て・・・やっぱこの人を信じた丑松が信じられない。

『身替座禅』
こっちは、打って変わって楽しい楽しい演目でした☆
日頃、朝から晩まで恐い妻に見張られている右京は、旅先で出会った花子に会いに行きたいため、奥方玉の井の目を避けるため、修行の旅に出たいと言うが、片時も離れたくない奥方は許さず・・・そこをなんとか、と食い下がる右京に、それならばと一晩だけ仏間に篭って座禅なら許された。
右京は「仏の道なのだから、途中で見舞ってはならない」ときつく言い残し、さらにもしも覗かれた時のためにと、太郎冠者にすっぽりと法衣を被って身替りとして花子のもとへ出かけていった。しかしやはり覗きに来た玉の井、酒やお茶、お菓子を勧めるが全て断られ、一目だけでも顔を見たいと法衣を取らせると、太郎冠者!太郎冠者も玉の井が恐いので全てを白状、玉の井は今度は自分が法衣を被って座禅をし、右京の帰りを待つことにする。
そんなことは知らずに、花子との楽しい一夜を過ごしていい気分で帰ってきた右京、法衣を被っているのが太郎冠者だと思い込み、どんなに楽しい夜であったかをうきうきと報告する。そして報告を終えて法衣を取ると、そこにいたのは恐い奥方!必死で言い訳をするが効く訳もなく、大騒ぎで逃げていく右京。

もう、ほんとにどたばたのコメディという感じで♪舞踊劇ってことで眠くならないかちょっと心配だったんですが、そんな暇はない!ていう楽しさ。
右京の菊五郎さんはああいうちょっと情けない感じも楽しくていいですねー。山の神、山の神、と奥さんを恐がって、花子のところへ向かうときの「行ってくるよ~」のうきうき感、帰ってきた花道での「むふふ♪」な笑い方や千鳥足、愛嬌たっぷりでした。
そして対する恐い山の神、玉の井には仁左衛門さん。あの仁左衛門さんが女形?と思ったんですが、なるほど、こういう役は立役の方がやるとおかしみも増して楽しいんですね~。凄む時は女形の声ではなかったですもの☆でもどこか、旦那様が好きで好きで仕方ない、という感じも伝わってきました。見舞ってはいけないと言われたけれど~とか、あの窮屈そうな様子を見たら見舞わずにいられない!とか。かわいいじゃないですか(*^^*)
そして、そんなお二人に挟まれてこちらもひょうきんで笑わせてくれる、太郎冠者は翫雀さん。「きゃー!」「ひゃー!」と奇声を発してぴょこっと飛び跳ねたり、平伏したり、体型がちょっと小柄で丸っこいので余計に愛嬌がありました♪そして、花子のところへ出かける主人を呼び止めて、「花子様に会ったら、その家中のあの子に、太郎めがよろしく言っていたと伝えてください」て自分もじゃないかー!みたいなかわいらしさとか(笑)
あと、侍女が二人いたんですが、お二人とも綺麗だったぁ~!お一人は、『児雷也豪傑譚話』でも美しい女形だった松也さん☆今回もすっきりした女性でステキでした。

『二人夕霧』
傾城の夕霧と夫婦になって勘当され、「傾城買指南所」などという商売をしている伊左衛門。この夕霧は二人目で、一人目は死に別れてしまった。借金生活で、ついに身包み剥がされて紙の着物1枚になってしまった伊左衛門のところに、亡くなったと思っていた以前の夕霧が現れた。事情があり、死んだことにしていたのだという。

イヤホンガイドの説明や、あとから筋書を読むと、元々あるお話のパロディだとのこと、元を知ってるともっと楽しいんだろうなあ・・・。不思議なお話、てことで、確かに普通の奥さんの格好じゃない派手な夕霧がご飯炊いてたり、傾城買指南所なんていかがわしい職業だったり、イヤホンガイドの説明も「いかにオカシイか、どうパロディか」の話が多かったかな。
しかしこちらも舞踊劇ちっく。お腹もいっぱいでかなりの睡魔との闘いになってしまって残念。なんだかわからないうちに目出度し目出度しになっちゃってた(汗)

余談ですが、お弁当は最近三越で買って行きます。んで、ただいま期間限定で今半が焼肉弁当を出しています!これその場で詰めてくれているのでとてもいい香が漂ってきて、980円とお手頃価格だったので買ってみたのですが、さすがの美味しさ♪味は濃すぎず、お肉は柔らかく、ご飯にもたれの味が染みていて、でもちょうどいい味なので結構な量なのに飽きずに食べられました。
2階の、ソファとテーブルのある席でゆったり食べられたのも良かったです。あの席、休憩時間になったら一目散に取りに行かないと、あっという間にいっぱいになっちゃいますね・・・2階席後方だったので辛うじてゲット☆

もう一つ余談。いつも楽しみな売店ですが、今回は下駄・草履屋さんと、手捺染屋さんが出店。
手捺染はとても可愛らしかったんだけど、小さなお守り袋が3000円でちょっと遠慮してしまいました。同じ柄のブックカバーは1300円とかだったのに、何故??
下駄・草履も、いつも色々な台の部分とかわいい鼻緒がいっぱいでつい見てしまいます。カジュアルな着物があれば合わせたいなあ・・・。
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by yopiko0412 | 2006-06-28 22:00 | 歌舞伎  

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