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コクーン歌舞伎『東海道四谷怪談:南版』

2006/4/19-18:30開演 シアターコクーン

やっと観てきました、渋谷歌舞伎祭りのもう一方☆
相変わらず事前学習、事前情報は一切排除、なので色々びっくりやら、訳が分からないやら(笑)あとからパンフレットを読んで納得したりするのもまた面白いですけど。

で、去年のコクーン歌舞伎は2階席だったので1階席の喧騒を羨ましく観てたんだけど、今年は1階椅子席!それも椅子席では5列目くらいのところだったので、通路を通る役者さんがはっきり見えて臨場感は増しました。でもやっぱり平場席の方が面白そう・・・ではあるけれど、きっとあの席に3時間超座ってたら辛いだろうなあ、と(汗)

ストーリーも知らなかったんですが、お岩さんてああいうお話だったんだー!が率直な感想。てっきり伊右衛門に殺されたのかと思ってた!いや、まあ間接的には伊右衛門に殺されたと言えない事も無いけど、でもあれは単に殺されるよりも酷い仕打ちだよなあ・・・そして、思ったのが、この演目って、悪役である伊右衛門が徹底的に悪人、極悪非道、それをびしっとカッコよく演じる役者さんがいてこそ、だということ。そういう意味では橋之助さんはほんっとにカッコいい悪役でした☆




だから、伊右衛門がお岩を取り返したあとの冷酷な仕打ちの場面、最後にはお岩と赤ちゃんの上着まで剥ぎ取り、蚊帳までも持っていかれるところで、お岩が「それだけは」と食い下がって伊右衛門にしがみついてずるずる引きずられるシーンでは、勘三郎さんのお岩が本当によれよれでもう頼る人もいなく、でも我が子への愛情はあり、なんとか伊右衛門を思いとどまらせようとする、その姿が儚げででも必死の根性も見せてて、胸を突かれた。あそこ、ひきずられるお岩の姿に観客から笑いが起きてたけど、笑えるシーンじゃなかったなあ・・・。

あと、考えると伊右衛門より恐ろしいのは伊藤喜兵衛筆頭に伊藤家の面々!いくらかわいい孫娘が一目ぼれした相手だからといって、女房のいる伊右衛門をどうやって婿に迎えるか、その策略が、女房であるお岩を殺すでもなく、別れさせるでもなく、「見るも醜い顔にする」毒薬って・・・考えようによっては本当に一番恐ろしい。よりによって女性の顔を醜くする、だけど命に別状は無い、なんて、生き地獄を味あわせた上に、そうしてその旦那を婿に取るってことは彼女はその後生きていく術があるはずもない。ということは彼女はこれまたただ殺されるよりも酷い仕打ちを受けたことになる。
でも、そんな手段でやっと内祝言を挙げて連れてこられた伊右衛門の部屋は、まさにその直前まで惨劇の場だった場所・・・そしてお岩の怨霊がお梅と喜兵衛を取り殺し、早くもその恨みを晴らしてしまうところからの展開はスピーディーだった。

お岩の怨霊、そして小平の怨霊、さらには久しぶりの(笑)与茂七と、勘三郎さんが様々に姿を変え、本水を使って、火を使って、宙吊りも使って、すっぽん(なのかな?あれ?)も使い客席をどんどん巻き込んでいく仕掛けにはほんとにいちいち驚かされた!
板の表裏にお岩の怨霊と小平の怨霊がいるところは、ほんとにどんな仕掛けなのか・・・。ちなみに「何であんな出方なのか?しかも二人?」と疑問に思っていたら、お岩と小平の体を戸板の裏表に貼り付けて川に流してしまった、のね、なるほどー。あそこ、伊右衛門と子分たちが、わいわいがやがやしてる時に指示してたから聞こえなかった(汗)
それにしてもすっぽんからの亡霊は、あれは反則に近い・・・想定外すぎて、ほんとにびっくりしてたよ、横のお客さん(笑)1メートルぐらい体を横にそらして、隣の人にしがみついて悲鳴上げてる彼女が本気で恐いんだな・・・と実感させてくれました。
提灯が燃えて、そこからお岩の霊がボブスレーの逆さまみたいな格好で出てきて、そのまま宙に浮くのも、ぜーんぜん予期してなかったのでびっくり!いや、後から考えればあの提灯大きすぎだったけどね・・・。

そして大詰め、伊右衛門の立ち廻りは黒子さんたちと共にスピーディーでかっこよかった!一人の方が棒を取り落としてしまったけど、すぐ拾って、橋之助さんも動じずそのあとの殺陣をきっちりこなしていて、そんなハプニングもプロだなあ、と思ったり。客席からは「あぁ~」という残念、みたいなため息が漏れてたけどね(汗)
そして、伊右衛門と与茂七の決闘は、セットも無く二人に焦点を当てる演出、与茂七は真っ白な装束で見栄え良かったです。で、その決闘の中、雪がちらちら舞ってて、それが突然どどんと塊で落ちてくる、あれ意味分からないけど綺麗だったー!一瞬、真っ白になって二人が隠れちゃうんですが、すぐそこから出てきてまた殺陣をするわけ、二人も真っ白になりながら、真っ白な世界が異空間を感じさせられた気がする。
水の中に入るとわざと客席に向けて水を撥ねさせる動きも、本来の殺陣をきちんとできていないと、そんな余裕も無くできないことだろうなあ。水の中での見得を切るシーンも含め、大詰めでは大向こうさんの声も多く、決闘シーンなのに明るくて賑やかだった印象。

カーテンコールでは、ビニールシートの使い方説明で使った水鉄砲を持って登場したり、弥十郎さんが水に飛び込む・・・かと思いきや振りだけだったり、最後まで楽しませてもらいました。

ただ、白紙状態だったせいで、途中色々「?」と思うような展開とか、「あの人はどうなったの?」とか「この人誰?」状態だったのも事実・・・。
・与茂七とお袖の話はないの?
・小平って突然出てきたけど誰?
・与茂七の身代わりになった人は誰?
・お袖とお岩って姉妹なんだ!
・お岩の子はどうなったの?
・ねずみ?お岩の化身??
・唐突すぎる、伊右衛門母の登場・・・。
・最後、どうして伊右衛門と与茂七が対決してるの?
大詰の第2場の準備タイムに、前説というか、そんな感じの時間があって、そこで北版では与茂七とお袖の話があるとか、お袖と直助権兵衛は実は兄弟だった!とかの説明があったけど、それでも「?」な部分はいっぱいあって、帰りにパンフレットであらすじを読んで色々納得。でもあらすじも大分端折られてたからちょっと疑問は残るけど・・・でも充分筋はわかったし、何より色々な仕掛けと役者さんの演技、会場の盛り上がりを堪能☆
1回観てみてから、足りない部分を補完するように情報を入れるのは、自分の第一印象も大事にできるし、理解の助けにもなるし、今後同じ演目を観るときの楽しみにもなるので、これはこれでよかったと思います。コクーン歌舞伎もWOWOWで放送が決定しているので、見直せるし♪
というか、ちょうど私が観た時カメラ入ってました!最後の水の場面でも、水辺にある岩のように黒いビニールで装飾されたカメラがあったので、臨場感のある本水シーンも映像で楽しめそう(*^o^*)WOWOWの編集に期待!

今日は、津川雅彦さん、水谷豊さん、木村佳乃さんが揃って観劇。津川さんと木村さんは『寝ずの番』繋がり?水谷さんは何だろう?3人とも帽子被ってたけど、木村さんはトレードマークのあのロングヘアをジャケットの中に隠してた・・・ばれたくないのはわかるけど、充分ばれてるし、髪の毛そんなところ入れたら邪魔だし動きにくいだろうに・・・帽子も被らず堂々と劇場内外を歩き回ってたふかっちゃんは潔かったな(笑)(前にコクーンで見かけた~可愛かった☆)

by yopiko0412 | 2006-04-20 16:30 | 歌舞伎  

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