阿佐ヶ谷スパイダース『桜飛沫』

2006/2/18-19:00開演 世田谷パブリックシアター

初の阿佐スパ。長塚圭史は『LAST SHOW』に続き2回目、かな。
東京公演はもう終わっちゃって、あとは地方公演のみ、映像としても残さない、と断言している作品。
2部構成で、微妙に登場人物はだぶってるけど、それぞれ独立した話、だった。
あらすじを本家から、と思ったら、本家に載ってるあらすじが実際観たのと微妙に違ってて笑った(笑)当初はそういう設定だったんだー。と妙なところで改訂前後を知ってしまった感じ( ^_^;)




『蟒蛇如(うわばみのごとく)』
ストーリーは重いんだけど、おもしろ満載で殺陣シーンもあり、色々満腹。
郷地兄弟の背景(子が生まれない理由)とか、蛇の存在意義とか、あんまり説明が無いので、自分で補完しろと言う事だろうか。やっぱりあの村は「蛇神」の地ってことなんだろうなあ。だから、ありがたく蛇を食べる村人と、その村人を締め付ける郷地兄弟のところでは、違うと。でもそれだったらあんな大量虐殺になる前に助けてくれてもいいのになあ。蚕之助だけはいい人だったのにその救いすら取り除いちゃったし。
ちょっとよくわからなかったのが、種がヤマコを殺そうとした理由。舞台観てる時は、ヤマコが徳市先生を誘惑するってこと?なんでいきなりそうなるの?て思ったけど、後から考えると「身ごもった女のいうことには逆らわない」と思ってるから、「身ごもったヤマコが、敵討ちへの参加をお願いしたら、断れない、つまり先生が行っちゃう」て思ったからなのかな。
最終的には郷地兄弟を倒し、復讐心を思い出した徳市が復讐に向かうことにつなげたかった、てことかと。でもこの時点ではその「復讐」の内容がわからず、説得力が薄い気がした。で、村は救われたんだよね??

以下役者さん雑感。
じゅんさん本領発揮の登場シーンが激しかった(笑)久しぶりにあんなに動くじゅんさんを観れて満足です♪そして最後はめちゃめちゃかっこいい殺陣と睨み!じゅんさん堪能のための脚本だろうか。
水野さんは、おもしろはあんまりない役だったし、殺陣もなかったのがもったいない。でも徳市先生を必死で食い止めようとするところとか、酔っ払ってぶくぶくちゃん☆を追いかけるところとか、かわいかった。
猫背さんは、やっぱり上手いなあ。あの声もすっごくよく通るし、おもしろシーンがかなり幅を占めてるけど、やり過ぎないいいバランスで。伊達さんとのあっけらかんとしたいじめっ子・いじめられっ子ぶりが悲壮感無くて楽しい。いちゃついてるだけだもんなー(笑)
吉本さん、声かわいい!コメントムービーでもかわいい喋り方だったけど、あのまま舞台でもやってるとは。あんなかわいいのに、ちゃんと声が通るからすごいなあ。
長塚さんと中山さんのでこぼこコンビはそれぞれかわいそうなんだけど笑えたなあ。役者の長塚さん、小者っぷりが妙に似合ってたー。ジャビコダケ(だっけ?)持って脅すシーン、変な絵面だった。すぐ信じてしまう人(長塚さん)に突っ込む、すぐには信じない人(中山さん)にさらに絡むじゅんさんって・・・あのシーンをあの長塚さんが書いてるんだよね(爆)

『桜飛沫』
全然知らなかったので、1幕観たあとは、じゃあこの2幕は復讐の話なんだ、と思っていたら、違った。
徳市の復讐相手、佐久間の物語なんだけど、まあ佐久間の現在は昔の姿は見る影も無く、すっかり腑抜け。その佐久間を巡って、こちらもさびれた宿場に関連する人々の想いが交錯する。
佐久間を倒して賞金を稼ごうとする左京一派。実は左京自身、佐久間は親の仇であり、自分の憧れでもあった、だから、腑抜けの佐久間を信じようとせず、「こんなはずじゃない」と思うばかりに仲間を手にかけてしまう。この左京の心情ってすっごく複雑で、ある意味純粋なんだろうな。親の仇だからこそ、超絶的存在であってほしい、そしてそんな超絶的な存在である佐久間を自分の手で倒したい、だから「憧れ」と表現する。あんな腑抜けた佐久間では、親の死も、自分の辿ってきた道も、すべて無意味になってしまうから。両極端な立ち位置で、佐久間を「信奉」してたんだろうと思う。
そして、そんな左京一派に苦しめられている宿場の人間たち。佐久間に左京一派を倒してもらおうとするけれど、佐久間は何もしてないけど倒しちゃう、左京一派からのおこぼれを受けていた彼らが、死んだ左京一派の首をボール代わりに蹴飛ばしてうさをはらす、そんな彼ら自身こそ、「狂っている」とマルセは言う。人間の弱さと怖さが、あの宿場の人々の中にぎゅっと凝縮されてた。
佐久間自身の物語は、贖罪、の一言。装ってるだけかと思ってたら本気で腑抜けで、誰にも関わりたくないのにふとその心に触れ合ったのは気がふれてしまったグズという女。その妹のマルセに、自分の過去を語り、心情を語り、「すみませんでした」と泣き崩れるのがハイライト、なんでしょうが・・・なんか集中できなかった。というか、見えなかったし、長いし、眠くなった(汗)
それは置いておいて、ラスト、1幕の徳市、種、ヤマコ、新兵衛が現れ、桜の花びらが舞う中で、いざ決闘!のシーンでの佐久間の声、あれは徳市の登場を喜んでたんだろうな、そして止めようとするマルセを振り切り、対決に向かうとき、グズが言う「ばいばい」が一番適した言葉だったんだろう。
それにしても最後の両サイドからの桜吹雪の噴射はすごかった。一瞬桜で何も見えなくなる舞台。「ぷしゅー!」て噴射音が客席にも聞こえるってちょっと風情を欠くんですけど。

以下役者さん雑感。
山本亨さん、かつての剣豪、今は見る影無し、てことで抑えた演技。渋いんですけど、いかんせん地味だった。たまにはったりでドスを効かせる喋りと眼光になるのはよかった。
峯村さんのグズは、あのふわぁっとした雰囲気が、あの宿場の中の異質さを強調してた。純粋な、それでいて何もかもを見透かしているようなグズがぴったりだった。
左京役、山内さんはやっぱおもしろい~。左京一派がまだ平和だった頃は良かった。一派がいなくなっちゃってからが空気も重いし芝居は長く感じるしってなってしまったもの・・・。

ここから、ちょっと愚痴。
えーと、観づらかった、です。世田谷パブリックシアターは2度目だったんですが、前回は3階席でそのときもあの高い手摺が視界を邪魔して酷い環境だったんですが、今回は1階前方席で・・・今度は段差の無さにびっくり。
客席を自在に動かせる仕様になっているのはいいと思うんだけど、その弊害なのか、段差が無い。あんな数センチの段差じゃ段差とは言えない。その上、芝居は地面(舞台上のね)ですることが多くてますます見えない。
1幕では冒頭のシーンからいきなり地面で芝居。本水使ってるのなんて、役者が「水がある」と言ってくれないとわからなかったし。途中、種が蚕之助を刺してしまうところから一連のシーンも、地面。見えないってば。
2幕は、さっきも書いた佐久間の贖罪のシーンは完璧に地面。しかも上手端だったから、あれ下手側の席の人(私含む)は段差の無さで前の人の頭意外、全然見えてないんじゃないかと。上手見切れ席の人も見えないかも。あと、2幕の象徴の桜の大木!あれがねえ、美しいんだけど、下手側から観てると、あれのせいで舞台中央と奥が見えない!あれは悲惨だった・・・奥に立ちすくんでいるであろう役者が見えずに、どう芝居を理解しろと?
ちなみに、当然のごとくS席だったんだけど。それであれってどうかしら・・・(涙)

なんていうか、色々面白や考えさせることもあるのに、盛り込みすぎでしかも2話分で、せっかくの背景をあまり掘り下げることなく、しかも見えないもんだから余計にわかりずらいという・・・なんとなく、もやもや感あり、もったいなかった気もする。
とりあえず、1幕2幕どっちかというと、1幕の方がだれることがなかったので面白かった。
[PR]

by yopiko0412 | 2006-02-21 17:48 | 演劇  

<< 吉井和哉ライブ 『THE 有頂天ホテル』 >>