演劇集団キャラメルボックス『クロノス』

2005/12/15-19:30開演 サンシャイン劇場

今年初めて観たキャラメル、結局全公演観るほどはまったわけで、今年最後のキャラメルボックスが、こちら。
原作があることはわかってたけど、なんとなくまっさらで観たくて読まずにいきました。読んでから観る楽しみもあるかもしれないけど、観てから読む楽しみもあるので・・・両方は選べないのだ。まあ、今から原作を読むと、必然的に来年のハーフタイムシアター2本分の内容は先取りになるわけですが、仕方ない(笑)

お話は、タイムトラベルモノ。主人公の吹原和彦は、「科幻博物館」に忍び込み、見つかったが、なぜここにいたのか、話し始める。2005年、吹原は物質を過去に飛ばす機械「クロノス・ジョウンター」の開発に携わっていた。そんな彼が、学生時代の初恋の女性、来美子に再会し、彼女への想いを告げられず、やっとの思いでクリスマスのデートに誘うことができた。その矢先、来美子が勤める花屋にタンクローリーが突っ込み、来美子は帰らぬ人になってしまう。彼女を救いたい吹原は周囲の反対を押し切ってクロノスで自分を過去に飛ばす。しかし、クロノスには様々な欠陥があった・・・過去に飛ばされた物質は、過去に留まれる時間が限られていて、しかも過去から戻される時、時間の反発のため、飛び立った時代より先の未来へ弾かれてしまうのだ。吹原は過去へ飛ぶが、来美子は「事故がおきる」ことを信じようとしない、また、様々な状況が彼の目的の達成を阻む。未来に戻った吹原は何度でも彼女を助けるために飛びつづける・・・その度に未来へ未来へ飛ばされることを知りながら。




前の『僕のポケットは星でいっぱい』の時も書いたけれど、タイムトラベルは一つの題材であるわけで、たまたま、ある目的を果たすためのキーポイントがタイムトラベルになっているだけで、そこにあるのは登場人物たちの「想い」なんですよね。その中でも、主軸である吹原と来美子さんの物語よりも、私にとってはその周りの人々のストーリーや台詞が印象に残ってるなあ。
一番は、吹原と頼人の関係。そこに間接的に来美子とさちえが絡んできて、館長の存在がある。吹原の回想シーンでの、頼人をボクシング部に呼び戻すエピソードでは、頼人が人を信じることができたこと、前向きに進んでいこうと思えた経緯が、その後吹原と再会した頼人の言動に結びついていくのが嬉しかった。初めこそ来美子のことが頭の隅にあったとしても、あそこまでできる吹原は、自分でも気付かないうちに、本心から頼人を呼び戻したくて、行動していたのだから。それが、頼人にもよくわかっていたのだから。だから、クロノスで来美子を救おうとする吹原に徹底的に協力的になれるし、また、「自分が行く」という発想も生まれる。
そう、吹原以外の人が行けば飛ばされる時間は少ないはずなんだけど、吹原が頼人に言った言葉が「もう一度来美子さんに会いたい」・・・そうか、吹原にとっては、過去に飛べば、何も起こる前の来美子さんに会うことができるんだ、そして伝えられなかった気持ちを伝えることができるんだ。つまり、吹原の目的は彼女を救うことだけじゃなく、自分自身の「後悔」をなくすことでもあるんだ。
さちえが吹原を止めるために言った「残される人間の辛さ」の一つは、「後悔」なんだよね。吹原は、何も起きる前は気持ちを伝えることなんかできなかった、でも「もう二度と伝えることができない」事態になって初めて、「伝えたい」と思ったんじゃないかな。後の後悔先に立たず、それをかなえるために、クロノスの反作用を知りながら、挑み続けた。
そして、吹原の覚悟を、気持ちを、想いを知る頼人は吹原を待ちつづけた。それはさちえも同じ。館長も、初めからどうも事情を知ってそうだな、と思ったんだけど・・・両親がどうとか言い出したとき、一瞬藤川&津久井ペアか頼人&さちえペアか迷ったけど、もちろん頼人&さちえの方が想いは強いよね。頼人の「一緒に吹原さんを待とう」という言葉がステキだった♪畑中さんの台詞で聞きたかった。

もう一人、気になった人は、野方さん。彼こそ、実は一番何かの想いを秘めていたんじゃないかと。だって、吹原の行動には大反対だったけれど、彼自身は「クロノス」の開発を諦めなかった、隠れてでも続けていた。それだって、会社からしたら違反行為なわけだけど、野方は続けてた。彼の初恋の人の「赤いペン」がそれを物語っていた気もするし、三度吹原が飛ぼうとした時に語った「二人の人間を過去に送った」という話も、彼らの眼に負けてしまったということは、野方自身も彼らの眼に共感したからに他ならない。この「二人の人間」が誰で、どういう経緯だったのか、気になっていたら・・・どうやら原作の他2編がその話だったらしい。しかもパンフを読んだところ誰だったのかわかってしまった(^-^;
もしかして、吹原の物語で語られなかった物語が、そこにあるのかもしれない。それなら、『クロノス』で釈然としなかったというか、答えのなかったこともわかる、かな?

えーと、ちょっと釈然としなかった部分は・・・3度目の来美子の反応、かな。やっと吹原の言っていることを信じたのに、逃げられるのに、「私待ってる、また来てくれるのを」てのはどうだろう・・・。それまであまりにも吹原さんの辛い姿を見すぎだったせいか、「うだうだ言わずに逃げりゃいいじゃん!」と思ってしまったんですけど。吹原に、こんなことをする理由をしきりに聞くのも・・・「逃げてから聞けばいいじゃん!」とか。まあ、あとから理由付けを考えると、来美子ももちろん吹原の気持ちはわかってて、でも彼女は彼女で吹原に直接言って欲しかったんじゃないかと。そして、吹原に会いたかったんじゃないかと。でもさ、あの時代の彼女は自分がちゃんと逃げて生きれば吹原には会えるのよ?まあそこら辺時間軸のパラドクスはまったく無視されてるので、実際この「クロノス」の設定上、彼女が逃げた後の人々の動きが、その時間軸として何事もなかったかのように進むのか、彼女が死んだ時間軸の状態が続く(つまり、吹原は行方不明になる)のかどうかもよくわからないけれど。

さて、役者さんとかもろもろ。
菅野さんは出ずっぱり、喋りっぱなし、飛んだり転んだり殴られたり、かなりハードな舞台ですね。汗だくで、ジャケットもびっしょり。途中でジャケット着替えましたよね(爆)同じの何着用意してるんだろう?
初めてのクロノスの実験の時かな、細見さんの藤川が時間を言う台詞が声がひっくりかえってへにょへにょになったら、菅野さんと西川さんが「どうした?」て反応してたのが笑えた。このときの菅野さんのとぼけた表情がツボでした♪緊迫したシーンで台詞噛んだのはご愛嬌?来美子の前で情けなくなる演技が大げさだけど可愛かったからいいか~。
畑中さんの頼人は、美味しい役だし、かっこよかった♪ボクシングシーンは殺陣の早さに唖然としました。メインの芝居の後ろで、藤岡さんのさちえと、声のない台詞で芝居をしてて、そこがすっごく気になった・・・なんていってるのー?!そしてそういう細かい芝居があるから、「この二人はきっと付き合うんだな」とか予測できたし、そして館長が二人の娘、ていうのの伏線にもなってたわけで。あと、私、あの低音ボイスが好きなので、今回は存分に聞けて満足です☆
西川さんは野方さんは真面目だったけど、遊んでたのは回想シーンでのボクシング部の3年生。あの表情であの声・喋り方はなんともいえない空気だったなあ(笑)
細見さん&前田さんのバカップルぶりも面白かった。全体的に苦しいストーリーなので笑いのシーンが少ないけど、この二人のシーンは比較的笑い要素多めで清涼剤でした。

カーテンコールでは坂口さんが喋り担当。アンケートに「書くことがなかったら、欲しいクリスマスプレゼントを書いておいてください」とのこと。間を置いて「あげないですよ!あげないですけど、私たちがそれを読んでクリスマス気分に浸るんです!」と(笑)すかさず「うぅぅ・・・」と泣き真似する岡田さん(爆)慰められてました~。
「この後みなさん飲みに行かれたりするんですか?」と自分で問い掛けておいて「余計なお世話って感じですよね!」と自分突っ込みの坂口さん。流れで「菅野君は、これからどうするの?」といきなり振られた菅野さん、すっとぼけた表情で一言「シャワー」あぁぁ、そうですよね、そうですよね・・・。

来年、横浜で大千秋楽にも行きます。それまでに原作読んだらまたそれを踏まえて観れるので感じ方が変わるのかしら?
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by yopiko0412 | 2005-12-19 00:37 | 演劇  

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