劇団☆新感線『吉原御免状』

2005/9/22-18:00開演 青山劇場

大期待の舞台を観てきました!今回は新感線初の原作もの、ネタバレは避ける方ですが、こういう場合は原作を知って観る観方をと思い、原作の方は読んでいきました。
あの原作をどう構成して舞台にするんだろう?と思っていたら、見事に「ああ、そうするのか」と納得させられて、原作を知っているからこその楽しみ方ができました。

それにしても・・・笑いが、少ない!というか、いつもの新感線的「ここはお笑いコーナー」な流れがなくて、笑うのはちょっとした「くすっ」という笑いだけ、これはほんとに各種インタビューで「今回は笑いなし」と断言してたいのうえさんの言葉通りで、びっくりした。だってあれは普通のストレートプレイでちょっと笑いが起こるのと同じ種類だもの!!ま、その中でも遊べるキャラの水野を演じる梶原善さんだけは一人突っ走ってくれてましたが(爆)

さて、何から書いたらいいのか・・・。



ストーリーの組み立ては、さすがの切り取り方で、あのものすごい時間軸の原作から忠実な部分と、中島さんが膨らませた部分がきれいに調和してて、うまい。説明調の多くなりがちな設定なんだけど、原作を知らなかった連れにもきちんと意味はわかってたもん。私は、逆に設定を知っているから、その表現にいちいち驚く(笑)
一番驚いたのはやっぱりおばばさまの夢の中、だなあ。誠一郎はともかく、周りの人間も、誠一郎の知っている人の姿をしている、という表現の仕方はうまい!そこに、誠一郎にとっては友人に当たる水野、そして勝山があんな風に絡んでくると、現実での彼らと、夢の中の彼らの立ち位置がオーバーラップして、現実世界に戻ったときの説得力が増してくる。これは原作ではなかった設定だし、それによって高尾太夫が「自分は誠一郎の夢に出てこなかった。あの人の心の中に自分はいない」と嘆く、ていうのはこれまた舞台ならではの設定だろうと思う。だって原作を読んでる限り、誠一郎は高尾にも勝山にも惚れてるもん。それは種類の違う惚れ方だろうし、誠一郎にとってはどっちがホンモノだとか、愛情とかもあんまりわかってなかったようだけど・・・そんな原作の誠一郎の描き方も好きだったけど、舞台の誠一郎の描き方も面白かった。
山から下りてきた当初、吉原に到着したばかりの誠一郎は無色透明の強さ、でも「人は斬りたくない」と言ってしまう人間。それが自身の出生、吉原の抱える問題、義仙との戦い、女たちとの交流を通してどんどん人間臭くなっていくのがわかる。色々な事実を何もかも受け止めようとして、真正面から立ち向かうのが「正義」だった彼に「優しさは悪だ」という辛い現実を突きつける幻斎、それを身をもって体験した誠一郎は生身の人間として、怒りのパワーで義仙と対決する。勝山に止めを刺すとき、義仙に啖呵を切るとき、あの絞り出すような誠一郎の叫びが身体に響いた。

もちろん、原作の設定から削除されているものも多い。そのために若干弱くなってしまった部分もある。たとえば、義仙の恨み。原作では柳生十兵衛、義仙と宗冬の兄は幻斎によって殺されたことになってる。そのことに気付いた義仙がさらに吉原者への恨みを募らせる、という設定、そしてそんな義仙の執着が、柳生家を潰すことを憂慮した宗冬が、柳生の奥義を誠一郎に指南し、誠一郎が柳生の剣に倒れないように仕向ける、ここの柳生家の事情や義仙の恨みの深さが舞台ではあっさりしすぎてしまっていたような気がする。
あと、高尾太夫とおしゃぶの描かれ方もちょっと弱くなってた。あれは舞台にはしにくいかあ。
逆に、「そこそのまま表現するんだ!」とびっくりした部分もあった。義仙の勝山への仕打ち・・・あれはねえ、本で読んでても顔をしかめてしまうくらい、残虐なんだけど、まさか舞台であれをやるとは!こ、恐かった(ToT)

それにしても、割愛されている部分もわかってるから、脳内で保管しつつ観てたのもあるし、なんというか、原作を知っているからこその楽しみ方はできたけど、今まで新感線モノを初めて観るときの「このあとどうなるの?」的なドキドキ感とか、観終わった後の脱力感(緊張して観てるから、観終わると心地よい疲れが(笑))がなかったのは仕方ないのかなあ。

舞台装置に関してはいつも通り、ダイナミック☆廻り舞台を多用して、可動性のセットを出し入れ、2階席からはあのすばらしい照明をじっくり堪能できるので、新感線は2階からも絶対観たいと思うわけで~(*^^*)でも前半、ちょっといつもよりテンポが悪いと感じてしまったのはなぜだろう?舞台転換のペースに慣れなかったのかなあ。あ、でもタイトルバックの出し方は相変わらず秀逸。また今回もあそこでぞわっと鳥肌立ったもの。毎回毎回色んな趣向をよく考えるなあ~♪
それにしても、舞台中央のあの微妙な傾斜の坂と変な形の階段、あの舞台でよく草履で立ち回りをするなあ。ついついいつもの癖で思わず足元を確認してしまったけど、スニーカーじゃなかった(爆)堤さんと古田さんの殺陣はほんとにスピーディーでかっこいい!!上から見てると動きがよく見えるので余計に美しかったし、あの階段の段差がさらに気になって仕方なかった。最後の戦いの時、堤誠一郎が一瞬足元をすくわれたようにこけるんだけど、あれはああいう殺陣なのか、ほんとにすべってたのか・・・次回観る時気にしてこよう。

役者陣については別記事にします・・・明らかに長くなりそうだから(笑)
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by yopiko0412 | 2005-09-23 18:38 | 演劇  

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