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『キレイ~神様と待ち合わせした女~』

2005/7/27-19:00開演 シアターコクーン

初演は観てなくて、でも評判はかなり聞いていたので楽しみなミュージカルでした。先週の『LAST SHOW』に続いて、内容はすごい重い、けど楽しくて泣けて、ほわんとする部分もあったり、また違った打撃を受けました。1回しか観れなかったのが残念・・・。以前から、基本的に舞台は1演目1回派(例外:新感線)なのですが(1回を大事にしたいのと、経済的・時間的理由などなど・・・汗)ここ最近はそうでもないですね。本と同じで、1回まっさらで観て、それを踏まえてさらに観てみたい、と思うのです。そうすると受ける印象も変わるだろうし、伏線とか深いところまで演目を理解できそうだし。
でもいかんせん、日本の興行は1回観て、「良かったからまた行こう」と思っても大抵はチケットは取れないのが現状。当日券とか立見とか、これまた時間的体力的問題があったりしますし。

ストーリーというか、見せ方が複雑で、時間軸をいったりきたり、しかも違う時間軸の人間が同時に存在してたり、姿を変えてみたりするので同行者は難しかったそうです。確かにわかりにくい部類なのかもしれませんが、こういう手法は舞台に限らず色んなジャンルでよくあることだし、私は理解できた、と思ってます。
でもこれ、理解がどうとかいうよりも、感情で感じたことが大きかった。



印象深いのは、ケガレとカスミの関係。ケガレとハリコナAの関係。
ケガレとカスミの「思いやり」が胸をつきました。ケガレが撃たれた時のカスミの「この親切は私だけのものなの!」というのはそれまでウソを生きてきたカスミが、本当に「誰かのこと」を「想う」ことを痛感した瞬間。それをケガレはちゃんと「カスミの表は全部あたしのものだった」(台詞はあやふや、こんな感じだったということで)だから「損してない、もうけた」と思ったのは、他人からの自分への思いやりを受け止めることができたんだと思う。
そして後半、また地べたに堕ちたミサがカスミの幽霊と語り(このシーン、ちょっとわかりにくかった。1週間っていう時間の経過も、カスミが何を思ってやってきたのかも。)、その直後、キネコとジョージとハリコナBからカスミの死を聞いたミサが言った「足りないよ、悲しさが足りない」てところ、観てる時もぐっときたけど、後から考えれば考えるほどじわじわ響く。そして事実を知って、カスミが言い残していった言葉を反芻して、失くしてしまった何かを見つけに行くミサ。この2人の友情ってすっごく厚い。お互い生きることに必死で、やり方が違うけど、お互いのやり方を責めたりしない。全てを受け入れるというか、あるがまま見たままにしておくから、2人は繋がってたのかな、と。

そしてケガレとハリコナA。この2人はねー純粋すぎてかわいらしくて幸せになって欲しいけどそれも叶わなくて泣けました。どちらも、「何かが足りない人間」だったんだよなあと思う。ケガレはミサが足りなかった、ハリコナAはハリコナB(知能)が足りなかった。ケガレとミサは最後に一緒になれたけど、ハリコナAとBは共存できなかったんだ・・・でも最後、ハリコナBがまたスズメバチに刺されてハリコナAになったので、そのまま帰ってくれたら、とちょっと期待したんだけど、ハリコナAに宇宙船は操れず散っていった・・・ケガレ(=ミサ)が切望していた「花」を咲かせて。そしてハリコナBのミサへのこだわりは、「金への純粋な気持ちを持っているから」だけだったんだろうか?彼は彼なりに知能を授かって幸せなはずなのに、自分の意に反してゲイになってしまった。でもケガレ(=ミサ)がいれば、彼女と約束どおり結婚すれば幸せになれる、て思ったんじゃないかな、とも思うんだけど、それは私のハリコナ(AもBも併せて)への愛着のせいかな?(汗)だってハリコナAの純粋なかわいらしさを見た後だと、ハリコナBのことも、豹変しているとはいえ同じハリコナだ、と思えちゃったんだもの(笑)

他の登場人物にもそれぞれ思うことはいっぱいあるんだけど・・・。とりあえず一番印象的だった2組だけで(爆)

あと、よくわからなかった点がいくつか。
・結局マジシャンの誘拐の目的は何だったのか?
・後半、マジシャンから逃げ出すマタドールが語ったミサの話がちょっとわかりにくかった
・アイダの存在意義がわかりにくい。ダイズ丸とミサの子で、ダイズ丸から自分の果たせなかった夢を叶えて欲しいと植え込まれてるの?でもミサからは止められてる。それにしてもなんであんなぴくぴく動いてたんだろう?ハーフ(ていうのか?)の特性?

役者さんに関しては、これまた色々楽しませてもらいました!蘭々はかーなり久々にしかも生でなんて初めて見たけど、直前に抜擢されたとは思えないくらいでした。ケガレの「ひゃは」(ていうのか?台詞というより、音♪)のところとか、かわいかった。あと、ミサの高岡さんと、二人とも透明感のある声がすごく似てた!あの透明感がケガレとミサのつながりや、純粋さを印象付けてくれました。
カスミの秋山さんはもうステキすぎです!!SHIROHでのお密とは正反対のキャラですが、パワフルでかわいくて、でもどこかはかなげで、スタイルもすばらしく(笑)出てくるとつい目で追ってしまいました~。20歳の誕生日、で若干客席から笑いが聞こえたような??(爆)
ハリコナはAの阿部さんはかわいくって仕方ない!かあちゃんと兄ちゃんが大好きで、「俺よりバカ」なケガレが大好きで、ちょこまか動いてて面白かわいい~♪大浦ジュッテンとのやりとりがほのぼの兄弟でした~☆そしてそんなハリコナが天才になったハリコナBの岡本さん、はじけてる!いきなり濃厚なキスシーンだし!でも、どこかにかわいらしさもあったりして、すんなり、「同じハリコナ」だと思えました~。
あと個人的に猫背椿さんが好きでした。出番少ないけど、出てくると声がよく通るしメリハリあるし、おもしろシーンと真面目なシーンが交互に入れ替わる場面もきっちりと見せてくれたし、好きな女優さんです。

【その他色々】
○開演は、客席でのコント!電車男のパロディで「コクーン男」が「コクーンきたー!」と登場。酔っ払いおやじの松尾さんが客席の女性に「どっか疲れてませんか?」と話しかけると律儀に「首が」と答える女性客、すると「じゃあこれ・・・」と自分の首につけていた湿布をはがしてその女性に渡す松尾さん(爆)「高橋克典からもらったものだから」て全然嬉しくないぞー!
○カネコジョージ初登場シーンで蘭々が笑っちゃって、次の台詞がぐだぐだに(笑)ジョージ(松尾さん)に「ごめん、よくわかんないからもう1回言って」とやり直しさせられてました(爆)
○じゅんさん@ダイズ丸の「たばこに火付けてすぱすぱジェスチャー」が見れた。色んな舞台でやってるなー。
○ハリコナAとケガレのキスシーン。客席通路に下りてきて、ケガレじゃなくて客席の人にキスしそうになるハリコナA。「あ、歯が当たっちゃった」て(爆)でもう片方も通路でも同じことして、舞台に戻ると「そんな冷たい眼で見ないで!」でこれまた爆笑♪
○えーとどのシーンだったか、兵士か誰かが海水パンツ姿(だったかな?)で登場。それに対して笑いをこらえながら「俺は絶対に突っ込まないからな!」と捨て台詞を残して去っていく松尾さん(爆)
○カーテンコールではクドカンが「今日は顔がいかつい人の誕生日です」て誰だ?と舞台上の役者さんたちも探してたけどすぐに「すいません、ウソです」てなんじゃそりゃー!と思ったら、どうやらお約束だったようですねー。

色々と、初演との違いや、他の方々の感想を見ていると、やっぱりせめてもう一度観たかった。そしてできれば台詞と歌をもっと「把握」したいなあ、と思います。歌はね、ミュージカルなんですが、いわゆる歌が専門の方々じゃないので、聞こえにくいところも多々あったし、そこはもう素通りするしかなかったんですけど。でも歌詞を知ってたらまた違うんじゃないかな、と思うのです。初見でパンフの歌詞見ながら舞台観るのはもったいなかったのでそれもできず・・・。戯曲本を買うか、初演のDVDを買うか、悩みどころ。今回のはWOWOWさんが撮影に入ってたらしいので放映を待ちます!(笑)

by yopiko0412 | 2005-08-03 20:10 | ミュージカル  

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