Team申第4回公演『抜け穴の会議室 ~Room No.2~』

2010/12/26-13:00開演 PARCO劇場

佐々木蔵之介さんのユニットTeam申の第四回公演。1回目から気にはなっていたけど、前回の「狭き門より入れ」で初めてTeam申を観て、今回2回目。初演では仲村トオルさんとの二人芝居だった演目を、今回は大杉漣さんとの二人芝居ってことで、事前の評判もよく、楽しみにして劇場へ。




あらかじめ、「開演前のアナウンスが面白い」という情報を聞いていたのだけど、いやもうほんとに顔がにやけました(笑)
ちなみに、開演前15分くらいのタイミングで劇場係員の方のアナウンスで観劇の注意事項と物販情報があったのですが、その物販情報の合間に蔵さんが登場。物販の紹介を「ちょっと待って、それとっても大事だからもう1回」とか言って繰り返し言わせて、「心がこもってない、もっと心をこめて」と指導が入ったり(爆)
これのことかなー?と思っていたら、本当の開演前アナウンスは別にあった。
なんと市川亀治郎さんが登場!「前回、狭き門より入れの打ち上げであんなに「次も一緒にやろうな!」て盛り上がったのに、なんで呼んでくれないんだ・・・。」「しかも、呼ばれたと思ったらこれ読めって、いきなり」とぶつぶつ愚痴モード(笑)一通り読んだら「え?これでおしまい?」といってお役御免!
終わりか、と思ったら次に仲村トオルさん登場!こちらは「またこれを読むためだけに呼ばれました。またですか。」とこちらも愚痴モード。「また」てことは、もしや前回の「狭き門~」の時もアナウンスしてましたっけ?ちょっと自分の記憶が曖昧(^^;;
そうして一通りの説明が終わったら、ダメ押しは蔵さん(爆)「あ、どうも、もうお帰りに?あ、今日千秋楽・・・!」てな感じで。
これ、ちょうど今仲村トオルさんが、シアターコクーンでKERAさんの「黴菌」に出演してて、その千秋楽がこの日だった訳で。どうやら他の日には「コクーンで、ナイロンですよね」みたいな宣伝をしてたみたいです、やること細かいな(爆)

えーと、開演前だけでやたら長々と書いてしまったけど、ほんとに蔵さんの遊び心が満載で、仲村さんも亀ちゃんも楽しそうにそのイタズラに乗っかってる感じで、楽しい♪
もちろん、ロビーにはお二人からのお花がありましたよー。

そして、本題。
事前に「輪廻転生」の話だとは聞いていたけど、こんなお話。
ある部屋に、二人の男。一人はさっきまで病院にいたはず、と言い状況が分からない。その彼に、もう一人の男が告げる、「ここは死後の世界。ここで人生の復習をするんだ」と。復習をすることで、戻る、つまり、生まれ変わることができる、と。
この部屋は周りに無数にあり、隣同士の人間は前世で密接なかかわりがあったはず。その人生の歴史は、部屋の中の無数の本に記されている。本には様々な年代が表記されている。前世だけではない、これまでの転生した人生全ての、記憶。
前世では医者だった先生と、ビジネスマンから旅館経営者になった部長。二人はそれぞれビジネスマンと学生だったときに出会い、その後もいくつかの偶然で再会し、友人となった。
さらにその前の前々世では、二人は親子。部長が頑固な父親で、先生が自由を求める息子。想いは強いけれど、分かり合えない父子の関係性が、この舞台のキーになっている。
同時に本に触れることでフラッシュバックして繰り返される人生。
前々世の自立を求める息子と、それを許さない父はロッククライミングで勝負をする。負けた方は、勝った方の言うとおりにする、という約束で。そこで事件が起こる。滑落した父のロープを、下まで落ちるとわかっていながら手放した息子。そして、落ちた父のためにすぐ救急車を呼ぶことができなかった息子。瀕死の父親に、自分の勝ちを認めろ、と詰め寄るが、父は搾り出すように告げる、「認めねぇ!」そして、父は死んだ。
息子は、その後父の亡霊におびえ、自らの命を絶った。
このフラッシュバックにうちのめされる二人。だが、この人生の復習をする部屋の中では、何を悔やんでも何をしても、全て「帰ることの出来ない過去」でしかない。過去の事実。
だが、さらに二人の復習は続く。
前世の部長と先生は、病院でも再会した。部長の娘が白血病で苦しんでいる。先生は、医者という立場で「どうにもならないこともある」と悟ったことを言うが、患者の家族である部長にとってはそれは受け入れられる言葉ではない。ここでも、打ちひしがれる二人。
だが、彼らが出会ったことに意味はあった。
先生は密かに骨髄バンクに登録し、部長の娘のドナーになった。骨髄の型が一致する確率はとても低い。それでも、その偶然があった。それは偶然だったのか、彼らの前々世からつながった、必然だったのでは?

前々世の父は、自殺した息子を「母親を残すなんて」となじった。夫と息子に先立たれた母親がその後どんな人生を生きたのかを案じる。
その答えは、父が知っていた。いや、父であった部長が知っていた。部長と先生の再会を促したのは、残された母親だった。年を重ねていたが、元気に颯爽と生きていた妻が、かつて夫と息子だった部長と先生を引き合わせた。
二人は復習を終えた。部長は転生する。「もう自分を見かけても話しかけないでくれ」と言いながら。

タイムトラベルとは違って、転生モノなので、パラドクスが生じないしきちんとつながってるしで緻密な脚本構成ですごい。まあ序盤に年代が出た時点で、年齢と年代を頭で少し計算して「あ、もしや?」と思ったりもしたんだけど、それも含めて上手い構成。
部屋に現れた時点では自分のことは一つも思い出せないし、何も分からないし、相手に抱いてるイメージも違っていた魂の二人が、話をすることで記憶の糸を手繰り寄せ、お互いシンクロしながら、本とフラッシュバックの力も借りながら、人生を復習する。前世の二人の感情と、前々世の二人の感情とが混ざり合って魂だった二人が自分を見出していく。生きていたときには出せなかった感情を。いえなかった言葉を。もう、やり直すこともできない、過去の歴史でしかない彼らの人生が、それでも隠れていた事実を吐き出すことで違ったものになっていく。
本を読みながら、フラッシュバックを重ねながら、立ち居振る舞いや言葉遣いが少しずつ変化していく様子は、お二人の絶妙なお芝居が作り出すもの。
全てがつながって、前々世に残した妻が元気に年をとったことに喜んだ部長が発した「女ってつえぇ!」の叫びは、面白くもありながら、そこに実際には登場しないその「妻」の持つ生命力と意思の力をたった一言で表現していた。

ラストは、いつの世の中か、街中でふとすれ違う、別の人生の二人。また、彼らはどこかで出会い、どこかで繋がり、あの会議室でまた人生を復習するのかもしれない。今度は、哀しい借りではなく、楽しい、嬉しい借りをお互いに返すような繋がりになっているんだろうな。

大杉漣さんが、ずっと足をかばって動いていた。何か設定だろうか、と思っていたけど、カーテンコールでも庇っていたので、怪我をされたのか。とふと思い出したのは、数日前のTwitterで大杉さんの足が、とか大丈夫です、とかいうポストが流れていたこと。そうか、アクシデントで足を痛められたのか、とやっと腑に落ちた。
つい最近、鋼鉄番長のアクシデントに心を痛めたばかり。相変わらず、一観客としては何も出来ないけれど、もう本当に何事もなく舞台が幕を開き、そして終わることの奇跡って大変なことだと実感。大杉漣さんも、どうか無理をしないでいただきたいなあ・・・。

今年の観劇はこれにて終了。とても素晴らしい舞台で観劇納めを迎えられて嬉しい。
来年も既にいくつかのチケットが手元に。また、素晴らしい出会いをいっぱいしたいなあ。
[PR]

by yopiko0412 | 2010-12-30 22:19 | 演劇  

<< 福山☆冬の大感謝祭其の十(紅白... 『黴菌』 >>