龍馬伝第三十五話「薩長同盟ぜよ」

龍馬伝第三十五話『薩長同盟ぜよ』

色々な人の覚悟が、形になって表れた回、その集大成が「薩長同盟」だった。



龍馬の周りの人々の覚悟。
龍馬も、もちろん覚悟を決めていて、それは先週高杉晋作からピストルを受け取った時の「重さ」の覚悟。
そんな龍馬を迎えた寺田屋。
お登勢さんの覚悟は、龍馬の母代りとして、何か大きな、そして危険な仕事をしようとしている龍馬を助け、見守り、心配する覚悟。今生の別れのように言う龍馬に、異を唱えるのも、生死をかけた大仕事に向かう龍馬が、無事に戻ることを祈ってのこと。
そして、龍馬は覚悟を決めたからこそ、迷惑をかけないためにももう寺田屋には戻らない覚悟もしている。そのために、お龍に自分がこれからどんなに危険な人間になるか、を分からせ、自分に関わるな、と警告する。
そのお龍は、逆に覚悟を決める。「坂本さんの役に立ちたい」という覚悟。そのために薩摩藩邸に掛け込み、龍馬への使いを連れてきたのだろう。そしてもう戻らないと決めている龍馬の心を分かっているからこそ、「必ず戻るように」と伝える。そして握り飯を渡す。
傘を手渡すお登勢と、対をなして、龍馬の帰りを待つ二人、の覚悟。

三吉さんの覚悟も少し。何者かわからない人間を、命令だけで守るよう言われたが、まだ龍馬を計りかねている。それをぶつける三吉さんとそれを受けて「すまんき」と茶化したことを謝る龍馬のやり取りは、龍馬が信頼を得る人間であることの表れ。自分は単なる日本人、とした上で、どんな人間でも志があれば、声をあげれば、事を成すことができる、と語る龍馬は、明確な答えは示していないけれど、人間性を示した、のかな。

西郷と相対した桂、今回は木戸に名前を変えてる。あくまで対等であろうとする彼は下座には座らない。そして、薩摩藩邸に一人で乗り込んだ状態で、密約を交わすことに異を唱える。
単なる脱藩浪士の坂本をなぜ待つ、という西郷に「僕は坂本君を信じてる」という桂さんは、この場を作ることができたのも、龍馬を信じることができたから、ということを肌で感じている。

ちょっとわかりにくかったのは、新撰組の辺りか。
なんでいきなり土佐の脱藩浪人を探してたんだっけ?弥太郎をたまたま捕まえたけど、喋りすぎるからといって信用せず。で見廻組がいきなり登場して、土佐の上士と下士のような構図が飛びだす。説明が荒いけど、まあ知ってる人はわかる・・・かな?
新撰組と見廻組が薩摩と長州がおかしい、とまでわかってて、言い争ってるところで、なんでいきなり弥太郎が龍馬の名前を出したのかもちょっと唐突だったなあ・・・脚本的に色々カットしてるんでしょうけど、もったいない。
松平容保公のお抱えだった新撰組だったから、そのことを近藤が報告するけど、結局仕事は見廻組にとられて、歯ぎしり。寺田屋のことも知ってたのに、手を出せず。結局、新撰組と見廻組の対立が龍馬の発見を遅らせて、薩長の会談も危機一髪難を逃れた、ということ?
しかも途中で弥太郎が新撰組の屯所から放り出されたあたりも、あんな新撰組のお膝元で「龍馬」て連呼しちゃだめだって、と思いつつ。
んー、この辺、脚色だとわかっていても色々疑問が残る感じだったけど、今後の新撰組の扱いのために必要だったのだろうと解釈。

そして、やっと実現した薩長の会談。龍馬を間に挟んでの対等な会談だけど、内容的には薩摩が長州を助ける、という内容一辺倒。それでは長州のプライドが保たれない、という桂の言葉に、両藩が一致団結して日本のために働く、という1条を加えることで均衡を保つ、それは、単なる面目の話ではなくて、いよいよ本当に幕府を倒して日本を、体制を、大きく変えるという一大事業をやり遂げるという、覚悟を両藩に突き付けていた。
実際には、軍事的に薩摩が長州を助けることは一つの手段であって、目的は、幕府を倒して新しい世の中を作る、と言うことに他ならない。それが薩長同盟の最重要事項。それを、明確にしたのが、龍馬。

ついに薩長の密約が成立した朝、三吉さんと語る龍馬。
長州が守られた、と喜ぶ三吉さんに、三吉さんのおかげでここまで無事に来ることができた、だから三吉さんもこの密約の一助であった、と称える龍馬。こういうところが、彼が人に対等であり、人の信頼を勝ち得、人に好かれた要因だろう。
で、弥太郎はどこいった?

そして、龍馬は本格的に追われる身になった。幕府方が本当にただの脱藩浪士一人が薩長を結び付けたと思ったのか、わからないし、ただの脱藩浪士を血眼になって捜したのか、謎だけれど、寺田屋という場所は特定できている。次回は寺田屋。
今回のお龍の「役に立ちたい」という覚悟が、すぐに試される。お登勢さんの母代りの覚悟も。三吉さんの龍馬を守る、という役目も。

龍馬伝ではもう当たり前になってるけれど、それでも毎回美しいと思う、光の演出。
龍馬から渡された長次郎の写真を、陽の光に当ててみようとするお徳。そして、長次郎の最期を聞き、旦那様は侍だった、と言う。ああ、お徳さんも、お富さんと同じ、武士の妻でした。
寺田屋の2階で三吉さんと初めてきちんと会話を交わす時の、障子を通した光を通した龍馬のシルエット。
火のついた炭を持ってきたお登勢さんと龍馬の会話のシーンでの、わずかな明かりによる陰影。
龍馬が来る前に相対した西郷と桂、明るい陽の光の元で影になる二人のシルエット。
どれもこれも、光の使い方が美しかった。
そして、同盟がなった後の朝の光。しんしんと降る雪が登場人物の肩を濡らしていたが、同盟の成立とともに雪が降り止み、空気は浄化され、朝の光が射すのも印象的。

それにしても、龍馬が歩めば歩むほど、色々な角度から、龍馬に死んでほしくない、という人物がどんどん増えて行く。そして、そういう人が増えれば増える程、彼の死が近づいている、皮肉。
始めは家族や友人だけだった龍馬に、今は亀山社中の仲間として、母代りとして、女として、大きな密約の当事者として、そして遠くにいる弟子として、死んでほしくないと思っている人間がついているんだなあ。
三吉さんは、ただ命令されて守っていた相手ではなく、三吉さん本人として、守るべき相手、に変わったのだろう、だからこそ、寺田屋で共に戦い、難局を逃れることができたのだろう、と思う。
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by yopiko0412 | 2010-08-29 23:49 | 龍馬伝  

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