『KITCHEN』

2005/4/7 19:00開演-シアターコクーン

蜷川VSコクーンの第2弾、です。
えーと、率直に述べますと、おもしろくなかったです。だって、初めてですよ、プログラム買わなかったのって!!
で、これからその理由というか、そういうことを書きます。「おもしろくなかった」だけで済ませるのはある意味失礼に当たるので、理由はちゃんと述べたいな、と。なので、厳しい表現になりますので、「楽しんだ」方は読まずにいただく方がいいと思います。(てここに来る方はそんなに多くないですが(汗)一応念のため)




論点を分けて書きます。

【題材】
まずなんといっても、お話がわからなさすぎでした。私の理解力のせいと言われたらそれもあるかもしれませんが、それにしたって長々と何を言いたかったお話なのか・・・。

このお話の前提として、「多民族国家」と「階級社会」の認識が必要だと思います。舞台はロンドンの厨房、でも登場人物のほとんどはイギリス人ではなく海外からの移民ばかり。そういった「多民族社会」にある民族間の歪というか、そういうものは、日本に暮らしている中では、なかなか実感しにくいものかと思います。それから、いわゆる労働者、ブルーカラーと呼ばれる人々の物語です。レストランの経営者(?)のあのおじさま(役名忘れましたが・・・なんせプログラム買ってないので補完できません)だけは中流階級なのかな?と思わせる風貌、言動で、その他の厨房メンバーは全て移民のブルーカラーなわけです。それほどの階級社会構造のない日本ではこれまた馴染みにくい部分かと思います。

この前提二つが、最後のシーンでのメッセージ(だと思われる)部分に結びつくんでしょうね・・・。なかなか学業の知識としては知っていても、登場人物に感情移入できるほど自分に実感のない大前提なので、辛かったです。

で結局ペーターの夢はなんだったのでしょう?モニークとの結婚?子供のいる家庭?あの変なアーチに何か意味があるんだと思ってたけど、それもわからず・・・。彼が狂った理由はモニーク?だとすると最後の「他に何が欲しいんだ」の意味がわからない・・・。

【演出】
というのかな。前に述べた前提の中の「多民族社会」を表現するためか、時折登場人物が母国語で話し出します。これが舞台後方にある電光掲示板に日本語訳が出るのですが、そのことに気付くのにしばらくかかりました・・・。
しかも、「英語を母国語としない人々が英語でコミュニケーションを取っているが、時折英語の表現につまずいてしまう」という部分があるのですが、この英語の部分を日本語に置き換えているため、日本語をえらい流暢に喋っている人が、突然「えーっと、くそ!」と日本語が出てこなくなったり、かと思うと突然たどたどしい外国語を喋ったりするわけで・・・違和感ありあり。これは役者さんの力量にもよるんでしょうが、言葉の違いとか、ディスコミュニケーションの問題を大きく投影しているこの題材を選んだことも一因かと。あ、これは題材部分に書くべきかな?

演出では、1幕の意味がわかりません。あんなに長いことやらなくてもいいんじゃないの?と。途中で飽きてました。あと、時間の経過がさっぱりわかりません。1幕と2幕では、もしかして結構な期間が過ぎてるんじゃないかしら?アイルランドの彼が馴染みすぎだったから。2幕の最中も、どんどん日が過ぎてたのかしら?ペーターが狂ってしまうのに至る時間的な流れとかがまったく表現されていなかった気がします。あ、でもあの変なアーチがある場面は全部同じ日?でもそれでも辻褄が合わない気がする・・・うーん。

あとは、臨場感を表すためだと思われる厨房の音、多すぎませんか?ただでさえ登場人物が多くて誰が喋ってるのかわかりずらいし、しかも役者さんも声の通りが悪い方が多かったので、さっぱり声がきこえませんでした。蜷川さんお得意のスローモーションや証明(真っ赤!とか)もなにやら突然で、何を表現したいのかわかりずらかったです。

ところで、舞台の端っこで、ずーっと暗いところに座っていた人、あれはなんだったんでしょう?説明あったかなあ?

【演技】
これはね・・・若い役者さんが多いとわかってたし、覚悟はしてましたが、うーん、やっぱり、て感じでした。てか想像以上にがっかりしたかなあ・・・。ペーター、頑張ってたんですけど、ただ声張り上げるだけじゃ何言ってるかわかりませんしペーターという人物がなぜあんなに感情の起伏が激しいのかも伝わりませんでした。モニークは、ペーターがあれほど溺れるほどの、妖艶さが足りなかった・・・男を手玉にとって、いざとなるとお金のある方になびく、というキャラにも見えなかった。喋りも棒読みでしたしねえ・・・(私から見て)舞台の向こう側の階段で喋ってるときは必死で彼女の声を聞き取らないといけなく、疲れました。他の人々もどうも声が聞こえない。張り上げればいいってものでもないのですが。

そんな中、お話や演出を抜きにして、ただ演技という意味では、ポール役が印象に残りました。彼だけは声がきちんと通る。がなりたててないのに、ちゃんと聞こえる。がなり立ててないから、ちゃんと感情もこもってる。厨房でも端のほうにいる、パティシェなんですが、細かい演技もしっかりしてて。なかでも、2幕のポールの長台詞が圧巻でしたね。普通の呟きがちゃんと聞こえるというのは当たり前のようでみんなできてない。だから結局声を張り上げて呟きを喋るからおかしいんですが、彼の呟きは呟きになってました。
この役者さん、たぶん『幻~』の五郎だろうなあ、と思ってて、確認したらやはりそうでした!納得。

色々書きましたが、期待していただけに、残念だったということです。私のここ数年の観劇の中では一番消化不良でした。それでも第3弾、第4弾にはしっかり期待してたりするんですけどね。
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by yopiko0412 | 2005-04-13 00:37 | 演劇  

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