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龍馬伝第二十三話「池田屋へ走れ」

龍馬伝第二十三話『池田屋へ走れ』

武市さんと以蔵の捕縛を経て、新たな段階に進む龍馬伝。
今回は、龍馬たち海軍操練所のロケが活きていた!というか、神戸の龍馬パートの青空と、土佐と攘夷派の陽の当たらない様がまさにそのまま画面に表れていて、苦しい。神戸操練所のみんなは、結婚式に新しい操練所、海と空。土佐は牢の中に差し込む僅かな光、京都では暗がりの中の行燈の明かり。まさに明暗の演出。




操練所が軌道に乗る一方での攘夷派の衰退に、なかなか割り切れない亀弥太。海軍を作ることの重要性も、今の仲間も大切だということも、わかってる、わかってるけれど、どうしても武市と土佐勤王党、攘夷を忘れることができない苦しさ。苦しさ故に、長次郎にも、陸奥にも、いらだちをぶつける。
だけど、言われた長次郎も、陸奥も、それぞれに亀弥太とは別の苦しみを持っていて、それを乗り越えようとしている。そこを突いてしまった亀弥太。長次郎のコンプレックスは、下士であるコンプレックスに苦しむ亀弥太とはまた別のコンプレックス。逆に名家の出身である陸奥は、その身分を捨てても飛び込んだ世界で、早く何かを得たくて、新しい世界を作りたくて、もがいてる。でも、陸奥自身も、決して身分で相手を見てる訳じゃない。自分だって脱藩の身だから、単に、気が逸っているから、あんな態度になる。
長次郎や陸奥から見たら、亀弥太の苦しみもまた違うもの。武市が自分を救ってくれた、という想いが強い亀弥太。確かに、あの時は攘夷が、武市が、時代の先端だったかもしれない。けれど、それはもう終わったこと。「時代はどんどん進んでる」「後戻りはいけない」という龍馬は、以前武市に土佐に戻ってはいけない、と諭した時と、同じ。亀弥太もわかってる、わかっているけれど・・・だから、涙しか出てこない。
だけど、その苦しみの末に、操練所を飛び出した亀弥太を探しに行く、という龍馬に、陸奥と長次郎が異を唱えたのは、彼らには操練所が背水の陣だからだろう。仲間だからこそ、背水の陣を捨てて行った亀弥太を簡単には許せない苦しさ。龍馬が、海軍の、操練所の仲間について、海をバックに語る件は素晴らしかった。今までも、多くの仲間を、失ってきた龍馬。失う度に苦しみ、悔しい思いをし、涙を流してきた龍馬だからこそ、誰よりも、仲間を大切にする。そして、海軍や船のことを言ってるけれど、それは大きい意味では「日本という国」も、一人では動かない、みんなが持てる力を出し、それぞれの役割を果たすことによって、「日本という国」を守ることが、動かすことが、できるのだということ。今後龍馬が政治に対して提言していくことを、既に知らずの内に、海軍という縮図の中にちゃんと見出してる。

土佐ではなぜか拷問がされていない。「次は自分か」という武市は、ある種覚悟を決めたのだろうか。と思ったら、以蔵に会ったら以蔵には「喋ってはいけない」と言う・・・武市さん、それはないよ、と思ったけれど、仲間を、自分を慕ってくれた人間を売ることはできないのが武市。だから、自分が拷問されて、拷問で死んでしまえばいいと思ったのかもしれない。でも、結局自分は死ぬこともできず、自分のことを喋らずにいる仲間を救うこともできない。
龍馬伝展で武市さんが牢の中で描いた絵を見ているので、三面格子の牢のセットが本当にあの絵のようでぐっときました。龍馬伝展効果すばらしい。
ここで和助という牢番が登場。慢太郎さん!下士の和助にとっては、武市は秘かに尊敬する相手だったと。やはり、土佐の下士にとっては、いくら攘夷派が廃れても、一時でも身分差を乗り越えた武市と土佐勤王党は大きな希望になったのだろう。
武市邸では弥太郎節炸裂。勝手に入ってきて乙女ねえやんに怒られたくせに、同じく勝手に入ってきた和助に同じことを言うって、さすが(笑)
でも、武市との往来でのやり取りもあり、ちょっとでも自分にできることはやろう、という弥太郎の姿勢は面白いかも。憎まれ口を叩きながらも、でも、「最近いいことばかりで、いいこと尽くしだといつか落ちることがあるから」という理屈は、ある意味商売の極意でもあるのかも。上がり続ける景気はないし、下がり続ける景気もない。

そして、池田屋。出た、桂さん遅刻につき難を逃れる!
ここも、せまーい部屋に薄明かりでじりじりと熱のこもった攘夷派の集まりの様子。新撰組の踏み込む場面は直接的には描かない演出。だからこそ、その後の惨状から類推すると恐ろしさが倍増するのかもしれない。龍馬伝得意の見せない演出効果は抜群。あれだけの惨状を作りだした襲撃って?!と想像力をかきたてられる。その上、帰り道の新撰組の隊列が怖い。
池田屋に向かう龍馬は路地裏で瀕死の亀弥太に出会う。傷を受け、自ら腹を突いた亀弥太。「侍だから、あんな奴らにとどめを刺されたくない」という亀弥太は、新撰組のなんたるかを
知ってたのか・・・。新撰組だって、元は農民のものもいれば、浪人もいる。前段で長次郎を「偽侍」となじってしまった亀弥太、彼の「侍」というプライドの強さと、結局は新撰組にやられてしまった悲劇。
そして、「後戻りはいかんかった・・・」といって絶命する亀弥太・・・ああ、わかっていたけど、あの海の場面での明るい青空の元での台詞と、夜の闇の、路地裏での台詞と、同じ台詞がこんなにも強烈な対比で描かれるなんて・・・。
新撰組は、戦闘後の帰還の隊列。返り血を浴びた近藤、厳しい表情の土方、鼻歌を歌い、ちょっと意気揚々の沖田、台詞はなくとも、表情と演出で、三者三様。今後龍馬とどのように関わっていくのか、楽しみになってきました。

今回陸奥宗光役の平岡君登場だったけど、優しそうな見た目とは裏腹に、ちょっと自信家で皮肉屋、でも意外に骨太な、秘めた志のある若者、で今後も楽しみな印象です。いつもの平岡君とは違って見えたよ!
来週はお登勢さん登場!なんで蛍なんだかわかりませんが・・・なんか天地人の不思議演出を突然思い出してしまいました、龍馬伝スタッフなら大丈夫と思ってますが(^^ゞ

by yopiko0412 | 2010-06-06 23:56 | 龍馬伝  

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