『海をゆく者』

2009/12/5-14:00 PARCO劇場

渋いおじさま実力派5人によるお芝居。渋すぎて人を誘えないので一人観劇でした(笑)
PARCO劇場の厚意(?)により、ポーカーのルールを知ってると楽しめる、とのことで、まあ詳細はともかくカードの役の強さくらいはさらっと知ってたので問題なく。



アイルランドのとある家。年老いて目が見えなくなってしまった兄リッチーの家に、彼の世話をするためといってどこかから戻ってきた弟シャーキー。リッチーの友人のアイヴァン。酒を飲みながらくだらない話を延々と続ける彼ら、シャーキーだけは禁酒している。クリスマスを迎える彼らはクリスマスの準備をし、客を招き入れる。客は、リッチーの友人ニッキー。実はシャーキーはニッキーに女を取られたことでニッキーが嫌いだ。そしてニッキーがつれてきたのは謎の紳士、Mr.ロックハート。酒に酔い、クリスマスの宴に酔い、彼らが始めたポーカーは、遊びではなく人生をかけるゲームだった。

開演後しばらくはリッチーとシャーキーとアイヴァンの3人だけのシーン。結構長い間、勝手なことばっかり言ってるリッチーとそれに付き合ったり突き放したりするシャーキーとアイヴァンのシーンが続く。役者の巧さが退屈にはさせないけれど、若干お腹いっぱいになってしまったかも。この時点では色々なことが明示されていないので、ただただリッチーが勝手過ぎる人に見えたし(笑)
小日向さん演じるMr.ロックハートの登場で、やっと話が動き出す。物腰柔らかな紳士で、ちょっと既に千鳥足になっちゃってる得体の知れない彼が、シャーキーと二人きりになった瞬間の表情の変化、仕草の変化、シャーキーの変化が、静かなんだけどじわっと怖い。人間の姿の悪魔が、いつかの取引の続きのために、シャーキーと勝負をしに来た、その掛け金はシャーキーの魂、つまり、命。
しかもロックハートはシャーキーだけじゃなく、アイヴァンとも勝負したことがあるらしい。でもアイヴァンには魂の勝負は仕掛けない。シャーキーは勝負の内容を知っている。その緊迫した中でのカードゲーム。無茶な勝負を掛けるシャーキー、シャーキーの勝負を不安がるリッチー。勝負や、ロックハートの勝ちに終わり、シャーキーは「壁の穴の向こう」へ連れて行かれることになる。
ラストの落ちは「え?」みたいなことなんだけど、ずーっと探してたアイヴァンのめがねがこんな落ちの伏線になってるとは思わなかった!「A」が「4」に見えてた、てじゃあこれまでの勝負ももしかしたら何か間違ってたんじゃないの?ていうか、カードって数字と文字だけじゃなくてちゃんとマークの絵が付いてるはずで、さすがにそれは見間違えないだろう・・・と思ったりもしますが。
しかし結局シャーキーは昔の殺人の罪から逃がしてやる、という勝負に勝った。だから逃げた。なのに「また勝負しよう」と勝手に言ってきた悪魔とまた勝負して勝った。「また勝負したいね」といわれて「もういやだ」と言った。でもこれ、無限ループなんじゃないんですか?
逆にアイヴァンの罪がなんだったのかいまいちわからなかったけど、彼との勝負のやり直しはしないのはなぜ?悪魔がシャーキーにこだわった理由がよくわからない。「生きる」ことを半ば諦めた人間だから魂採りやすいと思った、のかな?死の願望を見透かしてシャーキーを狙った、と。アイヴァンにはあまり死の願望がないから標的にはしない、てこと?

なんか色々不明が多かったんですが、最後に、事情を詳しくは知らない兄がシャーキーに言った言葉が良かった。「お前がどうしようもないやつだって知ってる。だけど今、お前は生きてる。」そう、どんな人間だろうと、どんなことをしでかそうと、生きてそこにいることが大事だし、生きてそこにいるから「前に進む」ことも「変わる」こともできるんじゃないか。そういうことを言いたかったのかな、と。簡単に「生きる」ことを諦めてしまうのは愚かだと。「生きる」希望を持ったシャーキーにはもう悪魔は近づいてこない、ということかなーと自分なりに考えてみたり。

役者さんはもう余すところなく巧さを発揮していて、舞台の端と端で同じように椅子に座って虚空を睨みつつ相手を睨む、ロックハートとシャーキーとか、ちょこまか細かい芝居してるアイヴァンとか、我儘で豪胆ででもなぜか人をひきつけるおじさんリッチーとか、見所たくさん。ニッキーは明るくてカーテンコールでもキャラのまま一人にこにこ手を振って去っていきました(笑)

ちなみに、開演前にロビーの椅子に座ってたら目の前で中山祐一郎さんがお知り合いと立ち話。あの声だから目立つ目立つ。と思ったら、休憩時間にこれまたロビーの椅子に座ってたら、また登場の中山さんが今度は私の真隣の椅子に座ってこれまたお知り合いとずーっとおしゃべり。とても普通の世間話をずっと聞いてました(笑)やーある意味贅沢な休憩時間。でもちょっと緊張。横見たいけど、見れない、みたいな(爆)
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by yopiko0412 | 2009-12-10 23:04 | 演劇  

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