『プリンセス・トヨトミ』

『鴨川ホルモー』・『鹿男あをによし』の作家、万城目学氏の最新作『プリンセス・トヨトミ』を読みました。
まずは・・・前2作とのリンクが見つかって、「三都物語」がつながったな、というのがなんだかうれしかったり(笑)
つながりの真ん中は、鹿男なわけですね、奈良が一番古い都だからそうしたのか、単に鹿男では3都市がそもそもつながってたからか、まあ意図はわかりませんが、そんなことを想像したりするのも面白かったりします。

総括すると、この万城目ワールドでは、京都(とおそらく東京)では鬼を使った「ホルモー」が行われていて、大阪では脈々と「大阪国」が営まれていて、そして奈良・京都・大阪では地下のなまずの尻尾を押さえていて60年に一度卑弥呼の時代から続く儀式を執り行っている、と。
なんだかわくわくしますー。そして、この際、東京ホルモーもぜひ書いて欲しい!!と思うのですが~。無理かな?




そして、本書。
行き先がわからないままにお話が進む上に、なんだか相容れない2本のストーリーが走っているので、軌道に乗るまでちょっと長かったけど、でも、前半でぐっと掴まれたのは、大輔パートの描写・・・もう、何度涙ぐんだことか。大輔と、茶子と、両親と・・・そして大輔のことを理解しようとする友達と先生、いびりの対象にする上級生、その構図が、あまりにもリアルで。大輔の心境なんかも、細かい機微をきちんと描写してあって、だからこそ、いちいち泣けてきます。心がきりきり。でも、大輔に寄り添おうとする人々の描き方は、その心情をあまり細かく書いていないからこそ、言葉の裏に隠れている気持ちを想像することで、色んな想いが沸いてきます。

この「女の子になりたい男の子」の設定が、徐々に2つのストーリーが絡まってきて、「大阪国」の話になっていく中で、どういう意味があるんだろう、と思ってた。もちろん、「真田家の男」のあたりの大輔の立ち位置ってことはあったけど。
そして最後で旭が彼に託したこと。
あーそうきたか!と。
きっと、大輔は、大阪国の男性の秘密と、女性の秘密、両方を知る、唯一の人間になったのだ。王女である茶子の傍にいて、守る、その役割はもちろん。そんな秘密を自分たちだけのものだと思っている男性陣をまた「見守る」女性陣の大きさ。両方を兼ね備えた大輔は、もっと強くなるし、ならなきゃいけない。でも、そんな大輔だからこそできることがあるはず。

大阪国側の人々の立場とか主義は一貫してたんだけど、ずっとわからなかったのが、鳥居と旭。松平については、途中でなんとなく想像ついたけど。旭は、私は「大阪国」側だと思ってたのです。だって、名前が「旭」ですから・・・。(名前については後ほど。)でも「太閤」で大輔の父の名前を見つけたあとの行動が「?」だったし、茶子の名前を見つけたときの反応とか、なーんか不明部分が多くて。そして鳥居がこれまたミラクル(笑)鳥居も何か知ってるのかと勘ぐってしまったですよー。
でも、旭については彼女の告白や大輔への言葉から、彼女もまた政府に利用されてしまったのね、でも純粋に「大阪国の女性」として、ちょっとリベラルな現代の人間として、知りたかったのね、とちょっと許してあげたくなりました。

他の著書とのリンクも面白かったし、あと好きだったのは、ネーミング。
まあわかりやすいんですけどね(笑)東の陣営は松平を筆頭に旭ときた。でも旭は元は秀吉の妹だし・・・だからこそ大阪国側だと思ったんですけどねーあながち間違ってはいなかったけど。
で、真田家でしょ、最初は大輔の名前だけだとぴんとこなかったけど、お父さんの「真一」がわかってすっきり!
橋場茶子は、もう言うことありませんが(笑)でも、茶子の母が市子、はいいとして、叔母が「初子」はもちろんお初からきてますが・・・お初もお市の方の娘で、茶々の妹だったんだけどなぁ。逆転。いつ「江」のついた人が出てくるかと思ってたら出てこなかった。

蜂須賀に長宗我部、後藤先生もどうやら幸村の家臣の後藤から来てるっぽいし、調べればもっとみんなつながってることでしょう、大阪国側は特に~。

最後の収集がね、割とあっさりしてたという感じもしましたが。首相まで登場してたのに、松平が「勝手にしろ」と言ったら終わりなんだ、という。まあ、テーマはそこにはないので、いいのかもしれません。

ちなみに、ちょっと疑問が。
茶子が王女でしょ、で、その前の、大輔のお父さんが守ってたのが市子さんでしょ。でも、じゃあ、市子さんと姉妹の初子さんも王女じゃないのかなー?!初子さんは、大阪国の女性陣の秘密は知らないのかしら?
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by yopiko0412 | 2009-03-25 20:05 | 読書  

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