『Good Night Sleep Tight』

2008/12/20-19:00開演 PARCO劇場

今年の観劇納めがこちら。三谷さんによる、中井貴一&戸田恵子の二人芝居、チケットは早々にゲットできたけど、それなりに激戦だったのかな、と思われます。

公開稽古のあたりでちょこっとワイドショーに出ていたのを見てしまったため、「ベッドの距離」の話は知った状態で観たのですが、まあそこは自力でも気づいたことだし、あれだけ象徴的に堂々と(笑)ベッドの位置を動かされれば、誰でも気づきますね~。




面白いのは、時間軸の使い方、かな。
始まりは、二人の別れの日。そこから、彼らがどうしてそういう結論に辿り着いたのか、彼らの結婚生活が徐々に明かされていく仕組み。電光掲示板で、出会ってからの日数を表示していたのも、面白い試み。というか、途中までは、「結婚してからの日数」だと思ってたら、どうやら出会ってから、だったことも劇中で判明。
もうひとつ、彼らには「名前」がありません。これも意図的なんでしょう、「君」とか「あなた」とかで二人称は終わり、唯一名前らしきものは、彼らのニックネーム「ポーラ」「ポール」のみ。
これは、きっと名前を敢えて付けないことで、観客に自分と、あるいは知っている誰かと、結び付けてほしいから、あるいは、どこにもいないけど、いそうな二人、だから、とかそんな意図かな、と思います。

結論としては、ポーラは、すべて覚えてたんですよね。あの箱のことも、暗証番号のことも、フィガロの結婚のことも、写真のことも、そして「死に別れるのはいや、ましてや嫌いになって別れるのもいや、だったら好きなうちに別れたい」という若き日の自分の想いも。
約束どおり、鼻歌も歌ったけれど、ポールは思い出せず、そして、写真が出てきても彼は思い出せなかった。
「ほらね!結局、永遠なんてないのよ!」(のような)台詞を残して去るポーラだったけど、もしかしたら彼女も永遠を信じたかったんじゃないかな、でもそれが自分たちの間には存在しないことを悟った。だから、本当に嫌いになる前に、別れることにした、んだと、私は理解しています。

ポーラは、劇中でどんどん変わっていったけれど、それはポールを通して、ポールとの結婚生活があったからこそ、今のポーラがあるんだと思う。パンフレットで三谷さんも書いていたけれど、初めはポールに頼りっきりの、ポールを振り回す女の子だったポーラ、そして才能に溢れ、ポーラを見守るポール。だけど、ポールとの結婚を機に、彼女は仕事を変え、ポールの応援を得て自分の夢を叶えるオーディションに参加し、希望とは違ったけれど、仕事を得て、その中で自分の新たな才能を見つけた。でも子供が欲しくて仕事を諦めたが、ポールの希望で子供は望まないことになり、それならばと新しい才能を生かした仕事を始める。その仕事から、また新しい才能を見つけ・・・とわらしべ長者のように、どんどん才能を見つけ、人脈を生かし、徐々にポールに相談する前に自分で行動する、自立した女性に変化していた。
その一方でポールは自分の才能や仕事に限界を感じ、ポーラとは逆向きに進んでいく。彼が子供が欲しくない、と言ったのは、本当に仕事に集中したかったからなのか、検査をしたくなかったからなのか、わからないし、そして自分の仕事がうまくいかなくなったときに子供を作ろうといったのも、本心だったのかわからない。彼はその場その場で楽な方へ逃げようとし、ポーラは新しい道を模索しようとする、その姿勢が違ったのだ。
だから、彼らはやがてかみ合わなくなる。
ポールは、そんな風にかみ合わなくなった原因がわからない。でも、彼なりのプライドの中で、ポーラが自立していってしまうのを黙ってみていることはできなかった。彼は、自分が尊敬され、頼られる存在でありたかったのだろう、だから、学生と浮気にも走ったのかもしれない、だって学生から見たら彼はまさにそんな存在だっただろうから。

生の音楽の使い方、さらには音楽家たちも舞台に連れ込んでしまう遊び心だったり、三谷さん恒例のセルフ前説だったりと、色んな要素が可笑しかった。でも舞台はちょっぴりほろ苦く・・・。
自分はどんな結婚生活を送るのだろう、という想像は誰もがするんでしょうね、この舞台を見たら(笑)
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by yopiko0412 | 2008-12-30 15:20 | 演劇  

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